ホントに架線が無くなってる…! “非電化化”されて”電車的な気動車”で災害復旧したかつての大幹線「奥羽本線」 コストカットの背景は?

奥羽本線の山形・秋田県境部が災害による不通から9か月ぶりに復旧。しかし、以前走っていた「電車」は消えました。「非電化化」を伴う復旧は異例ではありますが、果たして利便性はどう変わったでしょうか。

「あ、架線がない!」見えてきた災害の痕跡

 この列車は快速で、次の停車駅は真室川、そして新庄となります。快速は昼間の上り1本、下り2本で、院内~新庄間を最短41分で結び、山形新幹線「つばさ」と接続します。

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泉田~羽前豊里駅間は土砂が流入し、架線柱などを飲み込んだ(画像:JR東日本)。

 快速は雄勝峠を超えて山形県へ入ります。院内~及位間は1968年に新しいルートで複線化されました。線形がよいのと電気気動車の性能もあって、時速85キロで走り抜けます。珍名で有名な及位(のぞき)から先は単線です。

 真室川に停車した後、羽前豊里の南側約1.3km先の踏切より南側に架線がないのに気づきました。翌日、クルマで被災現場を訪れると、線路横の斜面は土砂崩れの痕跡がありました。応急処置としてブルーシートで覆われ、付近約1kmでは架線と架線柱が撤去されていました。

 終着の新庄駅には13時8分に到着。山形新幹線「つばさ」へ乗り換える人も3人いました。

 筆者は、この後、横堀駅に戻り、「非電化化」区間の駅を巡る旅を続けました。気動車は8回乗りましたが、各列車とも乗客は十数人程度。GV-E400系は座席定員36人で、キハ110が約50人、701系が2両で約100人なのと比べるとかなり少ないですが、幸か不幸か利用者も少ないのであまり問題なさそうです。

 ところで、JR東日本は、電化区間である新庄~院内間を、なぜ「非電化化」したのでしょうか。

 前出の通り、奥羽本線は2024年7月に発生した山形県北部の大雨により、新庄~院内間の26か所で、土砂流入や法面崩壊など被害が発生しました。同時に被災した陸羽東線鳴子温泉~新庄間は復旧の目処が立っていません。

 JR東日本は、同年10月、新庄~院内間の復旧とあわせて「電車線(架線)設備を順次取り外す」と発表します。倒木や積雪で架線が切れるなどの障害を回避でき、災害からの早期復旧が可能となると強調しました。過去20年間で新庄~院内間の架線の断線は15件発生したといいます。

 筆者は、もう1点、気になることがありました。

【むしろスッキリ?】これが「架線が外された」奥羽本線です(地図/写真)

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