えっ…静岡駅に「やたら精巧な電話できない公衆電話」がありました。なぜこんなモノが置かれているのでしょうか?
JR静岡駅の北口近くの公衆電話はほかと少し雰囲気が違います。よく見てみると真ん中の電話が模型なのです。どうしてこのようなモニュメントが設置されたのでしょうか。
真ん中は……公衆電話じゃない!?
JR静岡駅北口近くにある公衆電話の前で、何かに悩んでいる様子の高齢女性が立っていました。よく見ると、その女性は作り物の電話ボックスに懸命にテレホンカードを差し込もうとしていたのです。実は、静岡駅には「3列並んだ公衆電話」のモニュメントがあり、両側のふたつは実際に利用できるものの、中央に横倒しになって設置されている電話は実際には使用できない模型なのです。

その女性は、どうやらツインメッセ静岡で行われるイベントに参加する予定だったようで、「それは作り物なんですよ」と説明すると、「全然わからなかった」と驚いた様子で答えてくれました。たしかにこの公衆電話の模型は、ボタンが押せる構造になっており、ぱっと見た限りでは本物と見間違えてしまうほど精巧に作られています。
このようなモニュメントが設置された背景には、静岡市が「模型の世界首都」をPRするために行った取り組みがあります。2021年3月19日、静岡市はプラモデルの組み立て前の状態「ランナー」を模した「プラモニュメント」を、JR静岡駅やツインメッセ静岡など市内4か所に設置しました。
公衆電話のモニュメントも、そうした取り組みの一環として設置されたもののひとつです。静岡県には、乗り物系模型やミニ四駆で有名なタミヤの本社があるほか、ガンダムシリーズのプラモデル「ガンプラ」などを製造・開発しているBANDAI SPIRITS(バンダイスピリッツ)の事業所兼工場「バンダイホビーセンター」もあります。
さらに、ハセガワや青島文化教材社(アオシマ)といった模型業界の大手メーカーも静岡に本社を構えており、県内のプラモデル出荷額は全国の80%以上を占めるとも言われています。こうした背景を生かし、官民一体となって模型文化を地域振興に活用する取り組みとして、プラモニュメントの設置が進められてきました。
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