米中のロボタクシーに大差つけられた「日本の自動運転車」普及阻む企業の“壁”と迫り来る「物流クライシス」

世界で進む完全自動運転の実用化。すでに「ロボタクシー」が走る米中に対し、日本は実証実験の段階にとどまっています。迫り来る将来の「物流・人流クライシス」を乗り切るため、開発現場に求められる課題と解決策を取材しました。

自動運転の前に立ちはだかる壁、でも待ってくれない時間

 EV(電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド)といった、バッテリーと高度なシステムを搭載した車両がどんどん増えてきています。これら車両技術の進歩はまさに日進月歩ですが、その到達点のひとつとして設定されているのが「完全自動運転」です。

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米国で展開中の自動運転車サービス「Waymo」の車両(画像:Waymo)。

 2026年6月11日に開催された「ソフトウェア・ディファインド・ビークル・サミット2026」では、この自動運転技術を日本でどう普及させるかについて、熱の入った講演が行われました。

 現在アメリカや中国といった外国では、すでに「ロボタクシー」呼ばれる自動運転タクシーが営業運行されています。対して日本では、いまだ実証実験の段階にとどまっているのが現状です。

 この遅れを挽回し、状態を打開するカギとして挙がったのが「データエコシステム」と「SBOM(エスボム)」という2つの要素です。データエコシステムとは、複数の企業や団体がデータを共有・活用して新たな価値を生み出す体制を指します。またSBOM(ソフトウェア部品表)とは、ソフトウェアを構成する要素をリスト化することで、複雑化した開発環境を“わかりやすくスッキリ可視化する”仕組みにあたります。

 現在の開発現場では、企業同士がお互いの技術を共有したがらない傾向が強いです。また高度なソフトウェアは、複雑化しすぎて仕組みが見えないブラックボックス、いうなれば“秘伝のタレ”となりがちです。これを可視化させてスッキリさせ、企業同士が横断的に協力しあって自動運転技術を構築していくことが急務とされています。

 これらは、ともすると「絵に描いた餅」、理想論のように聞こえるかもしれません。しかし、現実にこの技術が求められる状況は“待ったなし”で迫っています。

 日本においては、バスやタクシー、トラックといった運転手を必要とする仕事が多く存在します。その一方で、ドライバーの数は年々減っており、有効求人倍率は高くても応募者が集まらない深刻な状況が続いています。

 予想では、2030年には物流と人流に携わる労働人口が大きく減ると推測されています。この2つが止まってしまえば、社会にとって大きなダメージとなります。その解決策として、人手不足を自動運転技術で補うという活路が想定されているのです。そのためにも、自動運転技術の成熟は早ければ早いほど良いというのが、現状と言えるでしょう。

事故が起きた際の責任の所在や、自動運転車を受け入れる社会体制など、まだまだ壁は多いものの、それでも実現に向け、自動運転技術の研究開発は前に進んでほしいものです。

【隣国の技術レベルは?】これが中国の自動運転車です(写真でチェック!)

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