チビすぎ? 地味すぎ? 今や見向きもされない「戦車王国の原点」I号戦車 けっこうスゴいんだぜ…?

ドイツ戦車といえばパンターやティーガーが代表格ですが、一方でI号戦車は地味すぎる存在です。しかし練習用や習作として開発されたこのI号戦車は、名前のとおり後の戦車王国の原点となります。

「戦車チート時代」におけるI号戦車の任務と存在意義

 準備不足のまま1939年9月1日にドイツ軍のポーランド侵攻が始まります。投入された戦車2700両のうち、III号・IV号戦車が310両、チェコ製38(t)戦車が350両しかなく、残りがI号とII号戦車でした。損害も出しましたが、ドイツ軍は練習用とはいえ扱い慣れた軽戦車を歩兵や砲兵、空軍など他の兵科と連携して巧みに運用する練度の高さで、緒戦を優位に進めました。

 III号・IV号戦車の配備が進んで来るとI号戦車は前線から下げられますが、生産性の良さから急増する車両需要に対応するため、結局1943年まで生産されて自走砲や駆逐車ほか戦場のモビリティとしてドイツ軍を支え続けることになります。生産数は1659両を数えます。

 一方、I号戦車の生産が終了した1943年には重量188トン、主砲128mmと副砲75mm連装という超重戦車「マウス」が完成しています。1930年代から40年代はまさに戦車チートの時代でした。

 I号戦車の最終退役は1954年のスペイン陸軍でした。I号戦車の生産数はティーガーIの1347両やIIの489両よりも多いというのは、本来の練習戦車以上の任務を背負わされた豆戦車の意味と時代背景を考えさせられます。

 I号戦車からの歴史は継続しています。ドイツの戦車開発と機甲戦の原点であり、今日のレオパルト2に至る系譜をたどる時、この豆戦車は確かな存在感を残しています。

※内容を一部修正しました(16日8時35分)。

【当時の写真】東京で展示されたI号戦車を見る

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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