「タイヤ+キャタピラ=万能車両」にならない!? 良いとこどり「ハーフトラック」なぜ半端モノに?

かつてアメリカ軍やドイツ軍などで広く使われた「ハーフトラック」という乗りもの。いまではすっかり姿を消しています。一見すると、履帯とタイヤ駆動の良いとこどりに思えるのですが、なぜ多用されなくなったのでしょうか。

日本語で表記すると「半装軌車」

 第2次世界大戦を描いた戦争映画で、必ずといってよいほど登場する軍用車両があります。それは、車体前部は普通の自動車のようなタイヤ駆動ですが、車体後部は戦車のような装軌式、すなわち履帯(キャタピラ)駆動になっている車両です。

Large 20250318 01

拡大画像

オートバイ版ハーフトラックといえる、ドイツの「ケッテンクラート」(柘植優介撮影)。

 このような2種類の足回りを持つ車両のことを「ハーフトラック」といいます。もっとも、半分トラックだからハーフトラック(Half Truck)ではありません。このトラックは英語で履帯を意味する「Track」であり、後ろ半分の足回りが履帯だからこその「Half Track」です。日本語ではどちらも「ハーフトラック」という読みになりますが、スペルは異なるので間違えないようにしましょう。

 日本語では「半装軌車」と表記されるハーフトラックですが、第2次大戦後から徐々に減り始め、現在では軍用としてはほとんど見かけません。姿を消した背景にはどんな事情があるのでしょうか。

 ハーフトラックは、タイヤ駆動、いわゆる装輪式の車両では足を取られて走りにくい雪中や砂漠、泥濘、海浜などをスムーズに走れる車両がほしいという要望から生まれました。

 このアイデアを実現したのは、フランス人技師のアドルフ・ケグレスです。最後のロシア皇帝ニコライ2世の専属車両技師を1905年から務めていた彼は、北の大地特有の豪雪や泥濘の中でも快適な走行が可能な車両として、既存の乗用車やトラックを改造しカスタム・メイドのハーフトラックをロシア皇室に提供していました。

 ところがロシア革命が起こったためケグレスは帰国。フランスの各自動車メーカーにハーフトラックの企画を持ち込みます。その中でこれを大々的に採用したのが、フランスの老舗自動車メーカー、シトロエン社のオーナーであるアンドレ・シトロエンでした。同社はシトロエン・ケグレス・ハーフトラックを製造し、1920年代から30年代のいわゆる戦間期に同車を装備した辺境探検隊を結成。サハラ砂漠や中央アジアなど前人未到の地の調査を何度も主宰して、ハーフトラックの有用性を世界に知らしめたのです。

【軽自動車ベースかよ!】これがホンダ純正「ハーフトラック」です(写真)

最新記事

コメント

1件のコメント

  1. スノーモービルが現代のハーフトラックだね

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  4. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  1. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  2. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス