「走らないレストラン列車」もアリ? 走れば満席「関東私鉄唯一の列車」の将来像 担当幹部が明かす
「車窓を楽しみながら食事を楽しめる列車」として人気を集めているレストラン列車がイベント会場で、止まった状態でカフェ営業をしました。実は、将来の可能性を探る試金石という位置づけもありました。
走らないカフェも「面白いと思っています」
武蔵丘車両研修場で「52席の至福」の出張カフェを実施したのは2021年に次いで2度目です。珍しい機会とあって反響は大きく、家族連れや友人同士などの参加でほぼ全てのテーブルが埋まりました。

提供された皿には、沿線の特産品である狭山抹茶を使ったロールケーキや、ブルーベリーを載せたスコーン、イチゴシャーベットなどデザートが計5種。3号車のカウンターでスタッフらによって盛り付けられました。飲み物のレパートリーは、狭山茶や紅茶、ぶどうジュースなどを用意。西武鉄道の1日フリー乗車券やオリジナルグッズ、「西武・電車フェスタ2025」に一般より早く入場できる特典も付いて料金は1人6000円でした。
妻(30代)、長男(5歳)、長女(2歳)とともに参加した東京都中野区在住の男性(40代)は「できれば運行時に乗ってみたかったのですが、まだ子どもが小さいので長時間だと少し難しく、今回は良い機会だと思って参加しました」と説明し、「提供されたスイーツがおいしいです」と話しました。長男も「ケーキがおいしい」と満足そうでした。
西武鉄道の堤室長は出張カフェを通じて「普段の運行時と違ったお客様に知ってもらい、運行する時にも乗ってもらいたい」と説明します。参加者の反応は「かなり楽しんでもらったようです」と手応えを示しました。
さらに「事業調査の目的もあった」とし、通常の「52席の至福」で提供しているコース料理よりも手軽なアフタヌーンティーのプランを定番化できないかと検討していることも明かしました。
あくまでアイデア段階だとしながらも「普段の運行時は西武秩父と結んでいますが、西武秩父までは行かずに、動いている電車でカフェとして運行できる可能性もあるのではないかと探っています」と説明しました。
一例として、アフタヌーンティーを楽しめるよう平日午後などに所沢経由で西武新宿と池袋を結んだり、西武新宿から所沢を通って池袋線に一部乗り入れたりする間にスイーツを提供できれば「面白いと思っています」と指摘。「1日当たり2回または3回運行できるのであれば、可能性がかなり広がってきます」と期待を込めました。
出張カフェが好評だったことで、もしも十分なニーズを見込めると判断し、運行する条件が整えば、カフェ営業を本格化できるかもしれません。
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