「時代遅れのビートル」から「世界のお手本ゴルフ」の会社へ VWはどうやって転身したのか?
「世界中で毎日、2000人以上が新たにゴルフに乗り始めている」といわれる、まさに“世界一の大衆車”フォルクスワーゲン・ゴルフ。初代のカクカクした形は、それまでの同社のイメージを大きく変えました。
ジウジアーロの参画で合理的なパッケージングが完成
新型車の開発に多額の資金を投入したにもかかわらず実現に至らなかったことで、VWの経営は逼迫しました。しかし、後戻りすることはできず、新たにEA337というプロジェクトを立ち上げ、タイプ1の後継車開発を続けます。

ここでデザインとパッケージングに起用されたのがプロダクトデザインの巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロです。フロントに横置きエンジンを搭載した前輪駆動車とし、ボディにはシャープな直線をふんだんに取り入れ、コンパクトで効率的なパッケージングを実現しました。
ちなみにこのEA337のボディは、のちのゴルフに通ずるカクカクしたデザインで、ヘッドライトも角目。開発当時の自動車デザインのトレンドも影響していると思われるものの、丸いボディのタイプ1と差別化を計ろうという意志が伝わってきます。
誰が予想したか超大ヒット!
1974年、満を持して「タイプ1」の後継車として初代ゴルフが販売を開始。当初は5000台ほどの生産を見込んでいましたが、最終的には46万台以上が生産されました。のちに51年以上にわたって生産が続く歴代ゴルフシリーズの中でも大ヒット作となりました。
この初代ゴルフは1983年のフルモデルチェンジまで、9年間生産が続き、その間に複数回のマイナーチェンジが行われ、年を追うごとに派生モデルも登場しました。日本では1975年に販売がスタートしました。
経営危機に陥っていたVW社は、この初代ゴルフによってV字回復を果たしたのです。
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