「環境問題?なんすかそれ」の時代に「1台売るだけで赤字」 全然伝わらなかった“世界初” 初代プリウスが尊い

複数の動力源を組み合わせたハイブリッド車の“世界初の量産モデル”こそ、1997年に登場したトヨタの初代プリウスです。ところが当時は、莫大なコストと情熱を注ぎ込んだにもかかわらず、その成果はなかなか市場に響きませんでした。

「リッター30キロ」を掲げたプリウスのプロトタイプ車

「アウディ80 duo」の登場翌年にあたる1995年、トヨタが東京モーターショーにプリウスのプロトタイプとなる「プリウスコンセプト」を参考出品。高効率のD-4エンジンと電動モーターを組み合わせた「TOYOTA EMS」という独自開発のハイブリッドシステムを搭載し、「同クラス車の約2倍の低燃費、リッター30キロ実現を目指す」として発表されました。

 当時としてはかなり真新しかった「人に優しい」機能も多数搭載し、相応の注目を浴びました。しかし、これは自動車業界内の専門家や関係者に限った話で、肝心の一般ユーザーの間では「なんのことやらサッパリ」という人が多かったのも実情でした。

「リッター28キロ」の噂だけが先行

 プリウスコンセプトの発表から2年後の1997年、トヨタは「21世紀に間に合いました。」のキャッチコピーとともに、世界初の量産型ハイブリッド車として初代プリウスをリリースします。

 この発売前から、さすがにマスコミも大きく注目を寄せましたが、実態がイマイチよくわからないハイブリッド車を前に、公式では発表されていない情報もまことしやかに出回るようになりました。

 やがて「リッター28キロ走るらしい」「価格はガソリン車の数倍に及ぶ」など、噂だけが一人歩きし始めます。発売時のスペックが市場の想像より低いとなれば、酷評を受けること必至です。実際、当初は「リッター28キロ」に及ばず、担当者はヒヤヒヤだったそうですが、なんとか1997年のリリースまでにクリアし、初代プリウスの発売にこぎつけました。

【え…!】これがプリウスより早い「世界初の市販ハイブリッド車」です(写真)

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