狙うは大台500機か!?「新参者のジェット軍用機」成功した理由とは? 案外したたかな計算でした

2025年6月下旬に開催されたパリエアショーで、エンブラエル社のKC-390が立て続けに契約締結の記者発表を行いました。なぜボーイングでもエアバスでもないブラジル製の輸送機がこれだけ売れているのか、そこには堅実な見立てがありました。

強気の販売予測 その理由は?

 軍用輸送機のベストセラーであるC-130「ハーキュリーズ」は、A型からH型の各タイプ合わせて約2200機生産され、60か国以上の国々に輸出されています。しかし、その多くが老朽化による更新時期を迎えつつあるのです。

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パリエアショーでポルトガル軍とエンブラエル関係者が参加した記者会見。メディア関係者の参加も多く、同機の注目度の高さが分かる(布留川 司撮影)。

 事実、KC-390の母国ブラジルも、空軍で運用されるC-130が更新の時期に差し掛かっていました。そこで、エンブラエルは自国がそうであるなら、他国にも潜在需要があると見込んで、当初よりC-130の後継となるようKC-390を開発した経緯があります。

 ブラジル空軍だけの限られた需要で新型輸送機の開発コストを補うことはできません。しかし、当初から他国への輸出を目指して開発するなら話は別です。こうしてエンブラエル社は、競争力を高めるために低コストと性能の差別化を設計に盛り込んで開発を進めました。

 C-130の開発元であるロッキード・マーチン社は、後継として事実上の新型機C-130J「スーパーハーキュリーズ」を生み出しますが、KC-390はこれよりも価格が安く、ジェットエンジンや最新技術の採用によって輸送機としての能力も、同等か一部では勝るスペックを達成しています。

 これら要因が合わさった結果、先に述べたような多数の国への採用に繋がったといえるでしょう。事実、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に多く売れていることが、C-130の後継を狙って開発したという、そのコンセプトの正しさを証明しているとも言えます。

 エンブラエル社では現在、KC-390の年間生産数を5機程度に設定していますが、今後の需要拡大を予想して、2030年頃にはこれを12機に増やそうとしています。

 今回のパリエアショーでの一連の発表は、軍用輸送機の更新を考えている国々にとっては注目すべき事例であり、KC-390の新規導入への呼び水になることは間違いないでしょう。

【見間違えそう】これが富士山バックに飛ぶC-2そっくりのブラジル製輸送機です(写真)

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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