新幹線の“あり得ない運転”JRなぜOKした!? 鉄道視点でみる『新幹線大爆破』 新作が「はやぶさ」であるもっともな理由【ネタバレなし】

映画「新幹線大爆破」のオリジナル版公開から50周年を迎えました。2025年にはこの「リブート版」も公開されましたが、新旧両作品ともに、鉄道の視点からだとどのような発見があるのでしょうか。

2025年の東海道新幹線ダイヤだと爆破必至?

 これらを踏まえて新旧両作を比較していきましょう。オリジナル版の舞台は東海道新幹線の東京発博多行き「ひかり109号」ですが、リブート版は東北新幹線の新青森発東京行き「はやぶさ60号」です。

 停車できなくなった新幹線は、先行列車を待避させながら終点に向かって走り続けます。しかし1975(昭和50)年初時点の東海道新幹線のダイヤは1時間あたり8本(「ひかり」4本、「こだま」4本)だったのに対し、今や最大17本(「のぞみ」12本、「ひかり」2本、「こだま」3本)。これでは列車をさばききれず爆発してしまいます。

 一方、新青森15時17分発の「はやぶさ60号」が走る時間帯の新青森~仙台間は、1時間あたり9本。オリジナル版に近い運行本数なのは、興味深いところです。ただそれだけで舞台設定を変更したわけでなく、決定打となったのはJR東日本の全面協力でした。

 オリジナル版でも東映は国鉄に撮影協力を打診していますが、新幹線に爆弾が仕掛けられる設定を理由に拒絶され、やむなく実物大セットと外部からの撮影、車内でのゲリラ撮影を組み合わせて制作されました。

 しかし50年で鉄道会社も柔軟になり、JR東日本は駅や車内、車両センターの撮影に加え、撮影用臨時列車を7日間にわたって運行するなど全面協力しました。同社によると、2018年放送開始のアニメ「シンカリオン」シリーズや、2021年のTBSドラマ「#居酒屋新幹線」など車両、施設を題材にした作品は過去にもあったものの、実写映画への全面協力は初めてのことだったそうです。

 協力の理由を聞くと「本作に限らず他の映画・ドラマ等と同様に、撮影時における駅や列車等をご利用のお客さまへの影響の有無のほか、撮影時の安全性などについて重点的に確認を行っており、それらにつきまして満たす部分について協力をさせていただいております」として、内容ではなく円滑に撮影可能なコミュニケーションとスケジュールが決め手だったと言います。

 実はオリジナル版、リブート版とも、実際の運行システムとは異なる部分が多く、見方によっては安全対策に誤ったイメージを与える可能性がある描写もあります。例えばオリジナル版では最後までATC下で運転しますが、70km/hの速度信号にひっかかれば強制的に減速してしまいます。これを避けるためかリブート版では、走行中にATCを開放して走り続けました。

 こうした描写を問題視しなかったのかをJR東日本に聞くと、「物語の内容につきましては、創作物であることから基本的には弊社がコメントを行う立場にはないと考えておりますが、弊社の担当者等より、現実と異なる部分について適宜お伝えをさせていただき、一定のご配慮をいただけた」と、必要な助言はしつつも制作側の判断に任せるという寛容な姿勢を示しています。

 リブート版はどのような時代背景を反映した作品なのか、オリジナル版とはどこが異なるのか、そのような意識をしながら見比べてみるとおもしろいかもしれません。

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