3500ccエンジン280馬力の「爆速コンパクトカー」だ! でも走り屋は総スカン「悲運のトヨタ車」とは
2000年代の欧州では大排気量エンジン&軽量コンパクトなボディからなるホットハッチがブームとなっていました。その波に乗るように2006年にトヨタがリリースしたのが3.5リッターV6エンジンを積む「ブレイドマスター」でした。
開発のベンチマークはドイツの高性能ホットハッチ
「ゴルフ」シリーズには初代モデルからホットハッチの「GTI」がありましたが、4代目「ゴルフ」に設定された「R32」はその血統を色濃く受け継ぎつつ、アウディ「TT」のメカニズムを随所に流用。Cセグメントハッチバックとしては排気量の大きな3.2リッターの狭角V型6気筒SOHCエンジンを搭載し、250psの出力を受け止めるため、駆動方式はFFからオンデマンドタイプの4WDに変更されています。

当然足回りとブレーキは強化されており、R32専用のバンパーとサイドスカート、リアスポイラー、18インチのOZ Aristoアルミホイールなどの専用装備が与えられました。
日本には2003年1月に3ドアモデルが300台限定で輸入され、同年5月に5ドアモデルが追加輸入されています。ちなみに、日本に正規輸入された「R32」は全車右ハンドルで、ギアボックスは6速MTでした。
なお、当初フォルクスワーゲンは「R32」を4代目ゴルフだけの限定生産に終わらせる予定でしたが、北米だけで5000台も売り上げたことから、次の5代目ではカタログモデルとし、6代目からは「ゴルフR」と名称を変更したうえで、現在も販売を継続しています。
このような「ゴルフR32」に倣う形で誕生した「ブレイドマスター」でしたが、5年半におよぶ生産期間中にラインオフした台数は2900台(ベースとなった「ブレイド」は4万7572台)と販売はまるで振るわず、1代限りでトヨタのラインナップから消滅しました。
それというのも、このクルマが登場した2006年は、経済の長期低迷により国内市場が走行性能や出力よりも燃費や実用性へと完全にシフトした時期であり、ユーザーから「ブレイド」シリーズは「車体が小さいのに無駄に排気量が大きく、燃費が悪いクルマ」との烙印を押されてしまった結果でした。
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