ドイツ自動車大手も認めた! 世界的「ホットハッチ」を20年ぶりに復活させた日本人
傑作コンパクトカーの「ミニ」の高性能バージョンとして誕生した「ミニ・クーパー」。じつは1970年代から80年代にかけて消滅していたのをご存じでしょうか。その名門モデルを復活させたのはひとりの日本人でした。
「ミニ・クーパー」の復活に日本人が尽力!?
1980年代中頃、「ミニ・クーパー」の名声が消えて久しいことを惜しんだ丸山氏は、単身渡英し、本国では半ば忘れられた存在になっていたクーパー氏を探し当て、新車の「ミニ1000」をベースにした新たな「ミニ・クーパー」の共同開発を申し入れます。

彼からのオファーを快諾したクーパー氏でしたが、問題は車名で、「ミニ・クーパー」の商標権はBMCの後継会社であるBL(ブリティッシュ・レイランド)が所有していました。そこで車名を「ジョン・クーパー1987」(ジョン・クーパー・コンバージョンキット)として売り出すことにしたのです。
クーパー氏が手を入れたA型エンジンを、東京都下、墨田区の工場で改造した車体に組み込んで完成した「ジョン・クーパー1987」は、新車の「ミニ」の2倍というプライスにも関わらず飛ぶように売れ、日本で4000台、世界で2万台を販売しました。
そして、この成功がBL後継のローバー社に伝わると、同社は正式に「ミニ・クーパー」復活を丸山氏に打診します。これを快諾した彼の尽力もあって1991年に「ミニ・クーパー」は、ローバーから正式に復活を遂げました。
2025年7月現在、「ミニ」はローバーからブランドを引き継いだBMWによって生産されています。技術的に見れば、現行型「ミニ」は初代モデルとの繋がりはありませんが、依然として「ミニ」の高性能バージョンには「ミニ・クーパー」のバッジがつけられています。
現在の製造元であるBMWをして「丸山和夫氏がいなければ、『ミニ・クーパー』という偉大なブランドは存続せず、わが社がそれを製造することもなかっただろう」と言わしめるほど、「ミニ・クーパー」を復活させた丸山氏の功績は大きいと言えるでしょう。
Writer: 山崎 龍(乗り物系ライター)
「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に
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