奇跡の現存!? 幻の「めっちゃ速い“車掌車”」とは? 製造2両のみ 露と消えた「高速貨物列車」構想の“走る執務室”

二軸の車掌車で100km/h走行を目指して開発された試作車掌車ヨ9000形。しかし実際は期待通りの性能を発揮できず、わずか2両で製造終了となりました。その1両が奇跡的に九州に現存しています。

解体をまぬがれ「森」へ

 ヨ9000形は1987(昭和62)年の国鉄分割民営化前に廃車され、JRには継承されませんでしたが、幸いにも2両のうちヨ9001のみが保存を前提として東小倉貨物駅に留め置かれました。

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東武がSL大樹用に連結するヨ8000形(ヨ8639、ヨ8704)は、東武型ATS(列車自動停車装置)を搭載する。同装置を載せていないSL(C11 207、C11 123)を運転する際は、SLの次位に連結(遠藤イヅル撮影)

 ところがJRでの保存計画は進まず解体の話さえ出たことから、JR貨物より「ふるさと鉄道保存協会」に譲渡が行われ、2002年より平成筑豊鉄道田川線・源じいの森駅至近にある「源じいの森」で保存されています。

 現代のようにコンピューター上でシミュレーションができなかった時代、鉄道車両の中には、このヨ9000形のように「作ってみたらイマイチだった」という車両がいくつかみられます。二軸車で100km/hを出そうとした発想も、今では考えられないことです。保存されているヨ9000形からは、試作車特有のロマンがあるように思いました。

 なお1985(昭和60)年に国鉄では車掌車の連結を原則終了しましたが、一部例外もあり、今でも数両の車掌車は現役で残っています。それらは、変圧器などの特大貨物輸送時にメーカーの添乗に使用されるなど、別の用途で活躍しています。また東武鉄道では2003年の貨物列車廃止まで独自の車掌車を運用していたほか、現在では、JRから譲渡されたヨ8000形にATS(列車自動停止装置)を載せ、SL運転の際にSLの次位に連結して使用しています。

【スタイルもいい…】これが幻の「めっちゃ速い車掌車」です(写真)

Writer:

1971年生まれの自動車・鉄道系イラストレーター/ライター。雑誌、WEB媒体で連載を多く持つ。コピックマーカーで描くアナログイラストを得意とする。クルマは商用車や実用車、鉄道ではナローゲージや貨物、通勤電車、路面電車、地方私鉄などを好む。

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