23年ぶりの「秘境ターミナル直通快速」大盛況! 使いやすくなった「西日本屈指のローカル線」まだまだ“伸びしろ”アリ!?
広島と備中神代を結ぶJR芸備線で、2025年7月19日から、列車の増便が行われています。同線存続の可能性を探るために国の再構築協議会が行っている実証事業です。どの程度利用されているのか、初日の臨時列車に乗りました。
駅で“歓迎” 悩ましいおみやげも
9時7分、広島を出発。下深川まで6駅連続停車の後、6駅連続通過するのは珍しいダイヤと感じます。その後は志和口、向原、甲立、三次と主要駅に停車していきます。

列車は、立ち客が多数出る盛況でした。「青春18きっぷ」シーズンですが、ボックスシートで前に座った少年は通常の乗車券で、備後落合駅でもきっぷを出している乗客が多く見られます。常連客と車内で話をしましたが「18きっぷで来る人は明らかに減りました」とのこと。
10時36分着の三次まで立ち客がいる盛況でした。普段は三次で系統分離されますが、今回の臨時列車はこの先に直通します。
三次に5分停車した後、出発。そこから7駅連続通過し、11時5分に備後庄原へ到着します。車内自動放送では「終点」と案内されますが、車掌が放送で訂正していました。ホームでは地元の人々が一斉に旗を振って大歓迎。予想していなかった歓迎ぶりに感動を覚えます。
11時10分に備後庄原を出ると、地域のスタッフから「芸備線で行く日帰り旅行」という冊子を渡されました。立派なクリアファイルまで入った、力の入ったおみやげです。
日帰り旅行の目玉は「備後西城駅と、東城駅から無料バスを運行(要予約)」と書かれている部分です。無料なのはすごいことですが、利用するには、庄原市生活福祉部地域交通課に利用日直近の木曜までに電話か電子メールで予約する必要があります。つまり、列車内で案内を渡されても、当日の利用はすでに不可能であり、悩ましく感じました。こうした旅行スタイルを提案するなら、旅行会社と提携してパッケージツアーにした方がいいような……。
車窓は次第に山が深くなってきます。11時35分、備後西城着。無人駅ですがきれいに整備されている駅です。パンフレットにある「ひろしま県民の森 ゆったりプラン」では、ここから無料バスで移動し、県民の森でバーベキューや弁当(要予約)を楽しみ、無料バスで備後西城駅に戻り、芸備線で20時18分広島着というプランが提案されていました。
11時39分、最後の途中停車駅・比婆山に到着。日本神話でイザナミが葬られたとされるのが比婆山です。地元の人がここ比婆山駅でも大歓迎してくれます。
列車は終点の備後落合を目指して進みます。西城川が線路に寄り添い、渓谷の風景が美しいです。西城川が小鳥原川に変わると木次線の線路が並んで走ります。備後落合行きは進行方向左側の席が景色を見やすいです。
速度は30km/h程度でゆっくり。キハ120形の台車が優秀なのか、悪くない乗り心地でした。11時54分、終点の備後落合に到着。広島から2時間47分の旅が終わります。ここでも地域の人々やJR関係者が歓迎してくれました。最終的には50人ほどが利用したようです。
備後神代って?
備中神代でしょう…