「コイツは何ジャンルの航空機なんだ!?」業界関係者も迷うナゾ機体…その特徴とは

米国のベンチャー企業が、ユニークな航空機の開発を進めています。しかしその特徴から「空飛ぶクルマ」……と思いきや、そうではない特徴もあるようです。どういったものなのでしょうか。

CX300から見る「空飛ぶクルマ」って?

 CX300は外観こそ、「く」の字にやや曲がった主翼などからなかなか“尖って”いますが、よく見ると左右のポールで主翼と尾翼をつなぎ、胴体後部にプロペラを付けたスタイルは既存の航空機で既に見ることができます。ちなみに、VTOLタイプではこのポールに垂直離着陸用のプロペラが付くとのことです。

 とはいえ、VTOLタイプだったとしても、よくある「人の乗れるドローン」の設計をした「空飛ぶクルマ」よりも、CX300は既存の機体っぽく仕上がっているのは確かでしょう。

 なおCX300は、CTOL・VTOLの設計や生産工程については約80%が共通なものの、パリ航空ショーでデモ飛行したのはCTOLタイプでした。これは実用化へのハードルという点で、CTOLタイプが低いことを意味します。実用化についても、既存の空港の充電設備が普及すれば、CTOLタイプの方が早いでしょう。客室も広々とし、小型貨物機として使い勝手もあると思えます。

「空飛ぶクルマ」は、飛行機よりも車みたいに身近な新しい空の交通形態登場への期待もあり、新ジャンルとして広まったように思えます。この名がこのまま残るか今後、「航空機」というカテゴリのなかに集積されてしまうかまだ分かりませんが、実用化すれば生活が便利になる可能性が期待できます。そうした意味では、CX300の実用化も待たれるところです。

【写真】えっ…これが「空飛ぶ…クルマ?」的な航空機です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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