欧州諸国が直面するF-35のジレンマ「中東の戦争国家」サポートはどうなのよ!? 近いうちに日本も他人事じゃなくなるワケ

ガザ侵攻を続けるイスラエルが多用するF-35のメンテナンスを巡って欧米各国がジレンマに陥っています。それは国際共同開発の戦闘だからこそ。しかし、同様のリスクは日英伊が推進中のGCAPもある模様です。

日本にとっても他人事でない「イスラエルのF-35問題」

 こうした問題は決して遠い国の出来事ではありません。日本もまた、次期戦闘機計画「GCAP(Global Combat Air Programme)」を通じて、日英伊3か国による国際共同開発の一翼を担っているからです。GCAPはアジア・欧州を結ぶ新たな防衛産業協力の象徴とされていますが、仮に完成機が第三国へ輸出され、その国が非人道的な軍事行動を取った場合、日本もまた「部品供給国」として責任を問われる可能性があります。

Large 20250903 01

拡大画像

DSEI JAPAN2025で展示されていたGCAPのスケール模型(乗りものニュース編集部撮影)。

 現にサウジアラビアはGCAPへの関心を示していますが、同国は長年イエメン内戦で無差別空爆や人道危機を引き起こしたとして国際的に批判されてきました。もしGCAPが将来サウジアラビアに輸出され、同様の作戦に投入された場合、その機体の開発に関与した日本も国内外において非難の矢面に立たされることになるでしょう。

 F-35をめぐるイスラエルの事例は、国際共同開発という構造が持つ「倫理的リスク」を如実に示しています。共同開発体制では、供給網に組み込まれた各国が否応なく責任を負うことになります。たとえ当事国が直接の戦闘に関わっていなくとも、部品や技術の提供を通じて間接的に紛争に寄与してしまいます。

 こうしたことを鑑みると、イスラエルとガザの悲劇が突きつけるのは、中東の地域問題にとどまらないと言えます。それは国際化した防衛産業における普遍的な課題であり、日本を含む各国が避けて通れぬ現実です。国際共同開発の利点はコスト削減や技術共有にありますが、その陰で「どの国の兵器が誰を殺すのか」という問いに対し、参加国すべてが応答を迫られるのです。

 今後、GCAPが本格的に進展すれば、必然的に「倫理的輸出管理」と「国際政治的責任」の問題が浮上するでしょう。イスラエルのF-35をめぐる供給停止の議論は、その未来を先取りする警鐘にほかならないかもしれません。兵器共同開発の時代にあって、私たちは単に技術や性能を語るだけでなく、その兵器が使われる現実にどのように向き合うのか、そこを問わねばならないと言えるでしょう。

【写真】いろんな国が関与 これがF-35の生産ラインです

Writer:

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  3. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号
  4. 飛行中の「日の丸特別機」に粋なサプライズ! 天皇皇后両陛下を“最新ステルス戦闘機”がお出迎え
  5. 「危なすぎる!」阪神高速“中の人”がブチギレ!? “衝撃動画”とともに呼びかける「ドライバーが守るべき3つのこと」とは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 「“再有料化”でいいから4車線化して」→普通車280円になって1年 利用者負担で勝ち取った“効果”あきらかに 八木山バイパス