欧州諸国が直面するF-35のジレンマ「中東の戦争国家」サポートはどうなのよ!? 近いうちに日本も他人事じゃなくなるワケ
ガザ侵攻を続けるイスラエルが多用するF-35のメンテナンスを巡って欧米各国がジレンマに陥っています。それは国際共同開発の戦闘だからこそ。しかし、同様のリスクは日英伊が推進中のGCAPもある模様です。
イスラエルにF-35の部品の供給するのは是か非か
パレスチナのガザ地区を事実上支配するイスラム組織ハマスは2023年10月7日、イスラエル領内への奇襲攻撃を敢行しました。ロケット弾の一斉射撃、武装部隊の越境侵入、さらには市民を標的とした襲撃は、イスラエル側に甚大な被害をもたらしました。

中東において幾度となく繰り返されてきた衝突の歴史のなかでも、この奇襲は特異であり、周到に計画された作戦はイスラエルの防衛網を突破し、同国を「無敵」と信じてきた国民意識に深い傷を刻んだのです。
ただし、ハマスにとっての「成功」は、ガザに暮らす人々にとって苛烈な報復の引き金にもなります。イスラエル軍は即座にガザへの大規模な空爆を開始し、都市機能を破壊しつつ「ハマスの殲滅」を掲げて作戦内容を拡大しました。しかしその過程で数万人に及ぶ民間人が犠牲となり、病院や避難施設さえも安全圏とは言えなくなっていきます。西側諸国は当初、イスラエルへの同情を示しましたが、無差別的とも評される攻撃の継続は次第に国際世論を反転させ、イスラエルに対する厳しい批判が高まっています。
この状況は、イスラエルに武器を供給してきた諸国に新たなジレンマを突き付けています。その象徴的な事例が、F-35戦闘機をめぐる問題です。
イスラエル空軍はF-35を配備し空軍の作戦の中核を担っています。しかしF-35は単なるアメリカ製戦闘機ではありません。部品生産や整備網は、数か国にまたがる国際共同体制の上に成り立っており、どこか一国でも「供給拒否」に転じれば、プロジェクト全体に影響が波及する可能性を含んでいます。
実際、ヨーロッパではすでに司法の場で問題化しています。オランダの高等裁判所は2024年、イスラエルへのF-35関連部品の供給は国際人道法に反する可能性があるとして違法と判断しました。これに対し、オランダ政府は上訴していますが、この判決は他国にも波紋を広げています。同様の訴訟や議論はイギリスやオーストラリアでも浮上し、F-35プロジェクトに参加する国々は「自国が無意識のうちにガザでの攻撃に加担しているのではないか」という倫理的な問いに直面していると言えるでしょう。
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