英史上最大の空母「なぜ艦橋が2つあるの?」乗ってわかった多数のメリット! 普段使わない小部屋まで
東京国際クルーズターミナルに寄港したイギリス最新の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」にこのたび乗船取材してきました。乗ってみたら、「ECP」なる普段は立ち入れない部屋にも入ることができました。
大型輸送ヘリのローター直撃にも耐える強度
ECBは少人数でも運用できるよう非常にコンパクトなレイアウトとなっており、中央の椅子に着座したままエンジンの出力制御と操舵が行えます。レーダーや電子海図、AIS(自動船舶識別装置)といった航行に必要なすべてのモニターや機器は揃っていますが、万一の事態に備えて紙海図への書き込みや航海日誌への記録を行うテーブルも用意されていました。

乗組員は、「艦内にはダメージコントロールや脱出用の装備がたくさんある。たとえば、船内を見渡すと、こうした電話機が設置されているのがわかるだろう」と無電池式電話装置(Sound Powered Telephone)を手に持って説明を続けます。
「通信手段が失われ、電話が使用不能になった場合、船内を呼び出せる設定済みの回線がある。無電池式電話装置は電流を必要とせず、電流を自ら発生させて通信することが可能だ」
また非常用の艦橋であるECBの近くには、航空管制室が設けられています。ここはフライコ(Flyco = Flying control position)、またはタワーと呼ばれており、「プリンス・オブ・ウェールズ」の艦上で行われるすべての航空管制を担っているところです。
この部屋の左舷側には、高さ3mにもなる多層装甲ガラスの巨大な窓が設置されており、飛行甲板を290度見渡すことができます。大面積の窓を採用したことで、艦尾から接近する機体や高い高度を飛行する機体の視認性が向上しており、高い技量が要求される着艦時のサポートをより綿密に行えるようになりました。ちなみに、この窓ガラスはCH-47「チヌーク」輸送ヘリコプターのローターブレードの直撃にも耐えられる強度を持っているそうです。
この部屋で説明してくれた乗組員によると、「フライコの一番奥に位置するのが着艦信号士官(Landing Signal Officer)」の席だ。担当するのはF-35Bの操縦資格を持つパイロットで、艦船の周辺を飛び回る各種航空機を統制し、着艦・離艦という複雑な任務を安全に遂行できるよう、パイロットを支援する責任を負う。必要に応じて航空機と直接、無線で連絡を取り、アプローチ中の機体に対して緊急時の行動や燃料の問題、発着タイミングの問題など、直面するあらゆる事態に対処する支援を行っている」とのことでした。
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