なぜ車道をつぶして歩道にするの?→「儲かる」からです! 全国で相次ぐ再整備のワケ 「高速道路廃止」も

全国で車道を縮小するなどして歩行者空間を整備する動きが相次いでいます。なぜクルマを不便にするのでしょうか。ひとつには、その方が「儲かる」からです。

車道を狭めて「商店街復活」

 いったんは自動車中心になって寂れた商店街が、歩行者中心になって劇的に賑わいが復活した例もあります。出雲大社前の神前通りです。大社付近まで乗り入れていたJR大社線の廃止(1990年)や、拝殿横に観光バスの駐車場が作られたことで導線が変わり、門前町が衰退してしまいました。

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まもなくクルマによる南北の通り抜けが不可になる新宿駅西口(乗りものニュース編集部撮影)

 そこで賑わいを取り戻そうと、拝殿横の駐車場を廃止し、車道を狭め歩行者空間を広げたのです。結果は劇的でした。観光客数は年間200万人から600万人台へ増加し、市内の宿泊客数も40万人から60万人へと増加。店舗も増え雇用も創られ地価も上昇するなど、活気と賑わいが回復したのです。

 この成功には、民間団体「神門通り甦りの会」が主体的に道づくりワークショップや、実際に車道を狭め歩道を広げる交通社会実験をして、バスが安全に通過できることなども体験し、丁寧な合意形成を進め、その過程で住民の参加意識も高まり景観整備などへの協力も進んだようです。住民と民間事業者の積極的な関与が成功の鍵でした。

高速道路も剥ぎ取って公園に

 自動車王国の米国ではもっと劇的なことが起きています。オレゴン州ポートランドでは高速道路の建設をやめて、その資金をライトレール(LRT)やトランジットモール(公共交通と歩行者が共存する商店街)の建設に充てたほか、ついには高速道路を撤去して水辺の公園にしてしまったのです。1970年代のことです。

 研究によると、歩きやすさの指標であるウォークスコアが1ポイント上がると住宅価値が700ドルから3000ドルに上昇し、ウォーカブルな都市づくりが不動産価値を向上させることが証明されています。

 さらに、ポートランドにおける鉄道の廃線跡を歩行者と自転車の緑道にしたグリーンループの建設では、集合住宅の価値が6.46%から7.96%増加し、スーパーやレストランの売上が増え、インフラ投資が建設・建築・エンジニアリングなどの雇用を創出し、徒歩圏内のオフィス賃料は74%上昇。ウォーカブルな質の高い都市環境が、単なる美化ではなく、不動産市場を動かし、企業や優秀な人材を惹きつけ、都市の競争力を高める、経済戦略の重要な柱であることが示唆されています。

 この取り組みの際、居住者・就労者・土地所有者からなる組合(ネイバーフッド・アソシエーション)が組織され、合意形成と意識の醸成が図られています。こうしてポートランドは一時、「全米一住みやすい街」としてランクされました。ただその後、コロナ禍とその最中に起きた暴動により、街の治安や風紀が悪化してしまったことは惜しまれます。

【衝撃…!】6車線道路→「完全歩道化」のイメージ 大阪のど真ん中(画像)

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コメント

1件のコメント

  1. 京都四条通りなんて、お手本にならんわ

    昔は路面電車があったし

    毎年祇園祭りとホコテンがあるし

    すごく特徴的な観光道路ですよ