ホンダが35年前に発売した「限りなく電動キックボードっぽい」50cc原付とは? コンセプトは“当たらずも遠からず”だった!?
1990年にホンダが発売した「ZOOK(ズーク)」は、今見るとまるで電動キックボードのような、奇抜なデザインの原付スクーターです。短命に終わりましたが、意外なものを令和の現代にも残しています。
ホンダ最後の「変なバイク」になったかも?
ホンダは、ズークのイメージキャラクターに所ジョージを起用し、年間の目標販売台数も4万台に設定するなど、相応に大きな期待をかけていました。
しかしながら、なんとズークは1年足らずで生産を終了してしまいました。これは発売時に「買おうかどうか」迷いつつも、ズークに注目していた筆者の肌感覚ですが、ズークは当時、少なくとも東京の街中ではそうそう見かけない存在でした。
ただし、こうした他に似たモデルがないバイクほど、生産が終わってから評価が高まるものです。ズークは個体数の少なさも相まって、中古車市場でプレミア価格がつくようになりました。
また、ズークのように性能的に“もの足りない”バイクは、格好のカスタムベースでもあります。アメリカンやダートトラッカー、レーサーなど、ズークは現在も様々なジャンルでカスタマイズの題材になっています。
1970年代以降のホンダは、基本的に“優等生”なバイクを作っていた一方で、時には従来の常識を破る、良い意味で“変なバイク”を発表することがありました。筆者は、そんなホンダの挑戦的な精神が大好きだったのですが、振り返ってみると、ズーク以降はこうした独創的なバイクを出さなくなったようにも感じます。
仮に、その分岐点がズークだったのだとしたら、「バイクの楽しさ」の一側面が消えたようで、寂しくも感じます。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。





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