「その無人機“かなりイイね”!?」豪の最新“万能機”で自衛隊は何をしたい? 飛行試験に参加へ
航空自衛隊が、オーストラリアで2026年度に行われる無人機「MQ-28A」の飛行試験に参加します。同機は新戦闘機と連携する無人機となる見込みですが、もう2つ、この無人機で実現したい“任務”が透けて見えてきます。
もう一つの「無人化したい任務」とは?
もう一つの目的は、防衛省・航空自衛隊が将来の導入を検討している「無人化空中給油機」へのMQ-28Aの適合性を探ることだと考えます。防衛装備庁は2024年に「無人化空中給油機に関する将来装備検討のための検討役務」の一般競争入札を行っていました。

2025年10月の時点で開発計画が進行している空中給油可能なUASは、ボーイングがアメリカ海軍向けに開発しているMQ-25「スティングレイ」だけですが、このMQ-25はアメリカ海軍やヨーロッパ諸国の空軍で採用されている「プローブ・アンド・ドローグ」方式の空中給油方式を採用しています。したがって、そのままの形では「フライングブーム」方式の空中給油に対応している航空自衛隊のF-35A戦闘機やC-2輸送機への空中給油はできません。
オーストラリア空軍は2025年10月現在、プローブ・アンド・ドローグ方式のF/A-18F戦闘機24機と、F/A-18Fをベースに開発されたEA-18G電子攻撃機、フライングブーム方式のF-35A戦闘機を72機運用しており、F-35Aは2050年代まで使用される予定となっています。
今のところオーストラリア空軍には無人空中給油機の具体的な導入計画はないようですが、将来保有を検討することになれば、F-35Aに空中給油が可能なフライングブーム方式の給油システムを備えたUASになるでしょうし、その場合、プラットフォームとなるUASはMQ-28Aをベースとするものになると考えられます。
航空自衛隊のUASの緊急発進への活用も、無人空中給油機の導入も、実現するとしてもまだ先の話ですが、早い段階から有力な候補となり得るMQ-28Aの情報を収集しておくのは望ましいことだと思います。その意味において来年度に行われる飛行試験への航空自衛隊員の参加は、意義深いものだと言えるでしょう。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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