銃無しで日本の空守った!?「月光」と呼ばれた自衛隊の戦闘機 “ビックリ構造”を特別に拝見!
このたび所沢の航空博物館の格納庫が特別公開され、普段見ることのない航空機を見学することができました。そこには、かつて航空自衛隊で使用された、特異な武装を搭載したジェット戦闘機がありました。
アメリカ空軍初の全天候型要撃機
第2次大戦終結後、アメリカを中心とする西側陣営とソビエト連邦を中心とする東側陣営の対立は深まり、やがて冷戦構造が生まれました。1949年8月にソ連も原子爆弾を開発したため、アメリカ空軍は核攻撃を行う可能性のある敵爆撃機の侵入を防ぐ迎撃戦闘機の必要性に迫られます。

当時すでにノースアメリカン社では、朝鮮戦争でMiG-15戦闘機を相手に活躍した昼間戦闘機F-86「セイバー」の開発を終えていました。こうした防空構想の変化に応える形で、1949(昭和24)年3月からF-86をベースとした新たな全天候型戦闘機が同社で自主開発されます。
この新型機は「セイバー」を土台にしたものの、部品の共通性は25%程度に留まり、ほぼ新規設計の機体です。最大の特徴は、機首に装備された全天候型レーダーで、射撃統制システムなどの電子装置と連動しました。機上および地上のレーダー誘導に従って夜間や雲中でも敵機を発見し、照準まで自動で行い、パイロットは機体を誘導するだけで撃墜が可能でした。最高速度は1151km/h(マッハ0.93)出すことが可能で、遷音速ジェット迎撃機として完成したのです。
そしてF-86D「セイバードッグ」のもうひとつの特異な特徴が武装です。原型のF-86「セイバー」が固定武装として12.7mm機関銃6丁を搭載していたのに対し、「セイバードッグ」は機銃を廃止し、空対空ロケット弾のみを主兵装とした最初の戦闘機となりました。この無誘導で折りたたみ式フィンを備えた70mmロケット弾は「マイティマウス」と呼ばれ、胴体下部の引き込み式24発ロケットパックに収納されました。
高速で敵爆撃機と交差するタイミングで、射撃統制システムの計算によりロケット弾が一斉発射され、目標に命中する計画でした。
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