「歩行者地獄」から一転! マナーの悪いドライバーたちが横断歩道でピタっと止まるようになったワケ “罰金大国”台湾の本気が凄かった
交通事故に遭う人の数が、日本の約5倍という高水準にあるのが台湾です。海外メディアにも長年「歩行者地獄」と、交通マナーの悪さを批判されてきましたが、近年この状況が変わりつつあります。何があったのでしょうか。
厳しい罰金は路上以外でも…?
台湾は道路での交通ルールに限らず、さまざまな反則金や罰金制度が厳しい国という側面があります。代表的な例のひとつが、都心部をめぐるMRT(地下鉄・新交通システム)において施行されている罰則です。
台湾のMRTでは、車内や駅構内で「水や菓子類を口にすること」が厳しく制限されています。日本人旅行者なら、自国と同じ感覚でついやってしまいがちな行為ですが、うっかり違反した場合は最大7500元(2025年10月末時点のレートで約3万7000円)の罰金が科されることがあります。
また、特定の喫煙禁止エリアでタバコを吸った場合も、罰金として2000 〜1万元(同約1万〜5万円)が科されることがあります。もちろん吸い殻のポイ捨ても罰則対象で、最大の罰金額は6000元(同約3万円)となっています。
ちなみに道路や公共交通機関でのルール以外に、近年特に厳しく取り締まられているのが、電子タバコの国内への持ち込みと喫煙です。これを知らずに、うっかり台湾へ電子タバコを持ち込んでしまった場合の罰金額は、最大で500万元。日本円に換算すると、なんと約2500万円という大変重い罰則です。さらに台湾は肉食類の持ち込みにも厳しく、罰金は最大で100万元(約500万円)が科されると言われています。
台湾でルールを徹底的に浸透させるには「罰金の強化が一番効く」というのが現地の人々の考え方のようですが、一方で社会秩序を守る意識を持つ人が多いのも、また台湾の人々の特徴でしょう。台湾がコロナ禍において、世界に先駆けて感染を封じ込めたのも、まだ記憶に新しいことです。
こうした取り組みによって、台湾の交通安全や社会秩序が守られるようになったことは、おおいに結構なことだと筆者は考えます。「歩行者地獄」とも呼ばれたかつての評価を一気に覆し、世界トップレベルに「交通マナーの良い国」となることを、密かに期待しています。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。





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