“自衛隊パジェロ”ウクライナで好評も「困ってます」「無理して使ってます」 露呈した装備品輸出の“欠けた視点”
日本からウクライナへ送った「パジェロ」ベースの軍用車両が、現地で使われ好評のようです。ただ、現場では苦労している側面も。「売りっぱなし」の状態は、今後の装備品輸出では禁物かもしれません。
「売りっぱなし」では輸出拡大は無理?
小泉進次郎防衛大臣は2025年10月26日にNHKの番組で、輸送などに使用する防衛装備品の海外移転のみが認められている防衛装備移転三原則の現行ルールの見直しに意欲を示し、防衛装備品の輸出拡大が「世界の秩序を回復させる重要なツール」になると述べています。
その考え方には筆者も賛同しますが、日本からの防衛装備品の輸出を拡大するには、ウクライナに供与した1/2tトラックで露呈したアフターサポートの不備が存在する限り、その実現は難しいのではないかとも思います。
防衛装備庁は2025年9月30日、「東南アジアにおける艦艇の維持整備体制の構築に向けた細部検討役務」の一般競争入札を行っています。これはフィリピンなどの東南アジア諸国との間で話し合いが進められている、あぶくま型護衛艦を譲渡した場合の、アフターサポート体制のあり方を検討するものと思われます。
フィリピンに輸出した防空用レーダーや、現在オーストラリアと価格交渉が行われているもがみ型護衛艦の拡大発展型のような「新品」を輸出する場合は、さすがにアフターサポートの不備はないものと思われますが、あぶくま型護衛艦のような「中古」の複雑な防衛装備品を発展途上国に輸出する場合、アメリカやヨーロッパ諸国の事例を参考にすれば、手厚すぎると思えるくらいのサポート体制の構築が必要だと筆者は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。





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