「国鉄色」に鉄道ファンはなぜ沸き立つ? そもそも塗らないでいいのに…車両の色がここまで大ゴトになる理由

鉄道車両の塗色が変わるだけで、ファンは大きく色めき立ちます。そこには単なる装飾を超え、地域の文化や企業の巧みなブランド戦略があります。

色に惹かれるのはヒトだから?

 私たちが鉄道の色彩に深く反応する原因は、カンブリア期に多細胞生物が海に登場して以来、進化の過程で培われてきた生物的な色彩感覚にあるといいます。

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都市のブランドも刷新した芳賀宇都宮ライトレール(山田和昭和撮影)

 特に人類は赤色を認識する能力がずば抜けています。赤は熟した果実や人の顔色など、生命を繋ぐための重要なサインであり、婚姻や祝い事で使われる紅白幕、そして危険を知らせる赤信号にも使われています。また、黄色と黒のストライプは、アマゾンのヤドクガエルが天敵に「近づくと危険だぞ」と知らせる警告色ですが、これは踏切警報機や一部の路面電車が発するサインとも共通しています。

 最近の例では、宇都宮ライトレールが挙げられます。その鮮やかな黄色は、安全上の視認性を高めるだけでなく、宇都宮が「雷の都」であり、雷が稲を育てるという地域の物語を表現しています。これにより、住民の納得にもつながっています。

 鉄道車両の塗色にファンが熱狂するのは、こうした生存本能や、社会・文化的な意味合いが背景にあるためです。そしてそれは、ファンだけでなく一般の人々にも、ブランド、安全性、そして地域のアイデンティティを雄弁に伝えています。乗客や沿線住民の記憶と愛着に応えるため、鉄道事業者はこれからも色彩の活用をますます深めていくことでしょう。

(本稿は、11月27日に開催された第11回レイルウェイ・デザイナーズ・イブニング2025(RDE)「鉄道と色彩」における講演などを基に構成しました)

【え…!】同じ車両なのに全然違う「お見事な塗分け」(写真)

Writer:

1987年早大理工卒。若桜鉄道の公募社長として経営再建に取り組んだほか、近江鉄道の上下分離の推進、由利高原鉄道、定期航路 津エアポートラインに携わる。現在、日本鉄道マーケティング代表として鉄道の再生支援・講演・執筆、物流改革等を行う。

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