「国鉄色」に鉄道ファンはなぜ沸き立つ? そもそも塗らないでいいのに…車両の色がここまで大ゴトになる理由

鉄道車両の塗色が変わるだけで、ファンは大きく色めき立ちます。そこには単なる装飾を超え、地域の文化や企業の巧みなブランド戦略があります。

「同じ車両です でも色は全然違います」

 そうした車両の外部色は、利用者に「乗りたい」という感情をかき立てる力も持っています。車両の形を説明するのは難しくても、「赤い電車に乗ってね」と言えば、人々に強く伝わるメッセージとなります。鉄道の色に何十年も日常的に繰り返し接触することで、その色は無意識のうちに心に深く定着します。やがてそれは地域のイメージとなり、生活の一部、そして人生の思い出となって、愛着へと繋がっていきます。

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マルーンカラーで統一された阪急電車(画像:PIXTA)

 阪急電鉄のマルーン色は、バブル期に色の変更が議論されたこともありましたが、光沢の強いウレタン塗装を用いてコストをかけて色を維持し、沿線住民の愛着をより強固なものにしています。色彩は、企業や路線のイメージ、グレード、ブランドに大きな影響を与えるのです。

 一方で、あえて色彩を変えることが企業の再ブランディングに活用されるケースもあります。相模鉄道の新型車に採用されている「ヨコハマネイビーブルー」は、渋谷・新宿への乗り入れを機にブランド革新を大成功させました。思えば約40年前、国鉄改革の際も、各社が地域ごとに塗色を変えることで、地域密着企業への変革を強く印象付けました。

 また、相互乗り入れをする南海電鉄の8300系と泉北高速鉄道(現:南海)9300系は、メンテナンス性向上のため、造形を全く同じにしながら、全く別の車両と認識させることに成功しています。これは、それぞれの会社が持つブランドを、「らしさ」を反映した色彩で表現したのです。この、技術的な合理性とブランド維持の両立は高く評価され、2023年にグッドデザイン賞を受賞しました。

【え…!】同じ車両なのに全然違う「お見事な塗分け」(写真)

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