陸自最強「10式戦車」なぜ増えない? “レアキャラ化”の裏にある日本の国防戦略の大転換

陸上自衛隊の10式戦車は、日本が世界に誇るハイテク戦車ですが、実は数の上では主力ではありません。なぜ高性能な戦車がなかなか増えないのか、そこには日本の安全保障戦略と新たな「主役」の存在がありました。

遅い「10式」より速い「16式」 タイヤが選ばれるワケ

 こうした理由から、陸上自衛隊では戦車の輸送については専用トレーラーを使うことがほとんどです。しかし、専用トレーラーを使う場合でも大掛かりな準備が必要です。また、数も限られるため、北海道にある10式戦車の全数を九州へ一挙に輸送する、などと言ったことは事実上不可能といえるでしょう。

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90式戦車(奥)と並んだ10式戦車。90式戦車は老朽化した車体から逐次退役している(画像:写真AC)

 そこで防衛省が白羽の矢を立てたのが「16式機動戦闘車」です。見た目は戦車のように大砲を備えますが、足回りは履帯ではなく8つのタイヤ。最高速度は100km/hで高速道路を自走でき、一般のトラック同様に素早く目的地へ駆けつけられます。

 さらに、航空自衛隊の輸送機に搭載して空輸できるため、離島なども含め「即応展開能力」は戦車よりも圧倒的に優れています。

 たとえるなら、16式機動戦闘車は事件が起きたらすぐ駆けつけるパトカーや白バイ、10式戦車はいざというときに制圧する機動隊の特殊車両のような関係といえるでしょう。

 まずは機動力のある16式機動戦闘車で対処し、それでも手に負えない強力な敵が上陸してきた場合にのみ、奥の手として戦車を投入するという考え方です。

 こうした役割分担を作り上げたからこそ、防衛省・陸上自衛隊は戦車の数を必要最小限に絞っているといえます。実際、先に述べたように10式戦車は毎年数両から10両程度しか造られていないのに対し、16式機動戦闘車は平均で25両/年のペースで調達されており、10式戦車の6年後に登場したにもかかわらず、すでに配備数は10式戦車より100両以上多くなっています。

 10式戦車が増えない背景には、性能の優劣ではなく、日本の守り方の変化があったのです。

【意外と広い!?】16式機動戦闘車がスッポリ入ったC-2の機内(写真)

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コメント

4件のコメント

  1. 泥沼の様な悪路なんて日本にどれだけある?北海道ならいざ知らず。

  2. もうそろそろしたら30式(仮名)とか出てくるんじゃないんですか

  3. そもそも日本は海に囲まれており平野も少ないので陸上兵器の活躍するシーンは限られています。陸上兵器が必要となる頃はかなり危険な状態です。逆に欧米やアフリカ大陸などは国境が陸続きなので陸上兵器はより強力なものが望まれます。記事にある通りの役割分担もありますが、むしろ地政学的な側面の方が強いのではないかと思います。

  4. 戦略転換したのではなく、せざる得ない状況に置かれただけです。

    10式を開発量産始めようという時期に戦車の定数を300両に減らされ、すでに300両以上の90式を持っていたため、10式を量産出来なくなった。

    苦肉の策で陸自は戦車の定数削減を飲む代わりに、16式を500両導入を求めて300両の枠を確保。だから16式が絶賛量産中ってだけ。

    価格だけなら10式の方が安かった位。