「500系って今でも『日本最速の新幹線』なんですか?」 その驚異のスペックを知っているか? 今は「最高の普通車座席」が乗り得!

新幹線で初めて最高300km/hの営業運転を実現した500系は、最古参の車両となってしまいましたが、その未来的な流線形デザインは今も人気です。見納めが近付いている500系新幹線について振り返ってみましょう。

近未来的デザインでも人気に

 500系は全電動車で、出力は300系の1万2000kwを上回る1万8240kw(W2編成以降は1万7600kw)にも及びました。現行の九州新幹線用N700系が全電動車8両編成で9760kwなので、倍の16両として考えると1万9520kw。。これにはやや劣りますが、現在でもトップクラスです。

 外観も異彩を放っていました。高速運転時のトンネル微気圧波を減少させるために、先頭車両のノーズ部分は15mもの長さ。さらに車体断面を円形に近くすることで、車体断面積を縮小しています。

 ドイツの工業デザイナーであるアレキサンダー・ノイマイスター氏が意匠設計を担当し、それまでの新幹線では見られなかった未来的なデザインとなり、人気を集めました。完全引退していないにもかかわらず、京都鉄道博物館ですでに保存展示されているのも、そのあらわれといえます。

 また、「プラレールカー」「エヴァンゲリオン新幹線」など、様々なコラボが行われた車両であり、2018(平成30)年に登場した「ハローキティ新幹線」も2026年春まで運行される予定です。

 ただし、高速性能追求は様々な問題も発生させました。最大の問題は「先頭車両の扉位置が異なる」ことです。ロングノーズを採用した500系は、座席数を確保するために普通車の座席間隔を300系の1040mmより狭い1020mmにしたり、洗面所を減らしたりしたほか、先頭車両の扉を1か所のみにしたのです。これは2003(平成15)年から設けられた「のぞみ」の自由席で乗降時間増加の原因となりました。

 また、車体断面が円形のため荷物棚が狭くなり、ビジネスユースの多い東海道・山陽新幹線では不評でした。

 1997(平成9)年、500系は新大阪~博多間の臨時「のぞみ」として営業運転を開始しました。所要時間は2時間17分。これはいまだ破られていない記録です(現状の最速は新神戸停車込みで2時間21分)。

 筆者(安藤昌季:乗りものライター)は当時の世界最高速度だった300km/h運転を体験したくて、東京からわざわざ乗りに行きましたが、風の音、車体を叩く振動の感覚が300系とは全然違うことに驚きました。インテリアも洗練されており「なんてカッコいい新幹線なんだ」と感動したものです。「座席鉄」としては、2+3列の普通車は座席形状が良く、好感を持ちました。

 2+2列のグリーン車は、柔らかい枕が当時では珍しく、快適性に驚いた記憶があります。ただ、当時はグリーン個室や食堂車など豪華さに振り切った100系が主力車両だったため、それと比べると500系は物足りず「質実剛健」という印象を受けました。

【最高の座席?】500系普通車の各種「豪華」座席を見る(写真)

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