「500系って今でも『日本最速の新幹線』なんですか?」 その驚異のスペックを知っているか? 今は「最高の普通車座席」が乗り得!

新幹線で初めて最高300km/hの営業運転を実現した500系は、最古参の車両となってしまいましたが、その未来的な流線形デザインは今も人気です。見納めが近付いている500系新幹線について振り返ってみましょう。

新大阪~博多間を2時間17分で結ぶ

 1998(平成10)年、東京~博多間の「のぞみ」に投入され、同区間を4時間49分で結びました。これは現状最速の上り東京行き最終「のぞみ64号」の4時間45分には劣りますが、5時間を切ったことは驚きでした。

 なお、「のぞみ64号」の4時間45分は、500系時代はなかった新神戸・新横浜・品川停車が加わるため単純比較はできません。編成出力では500系が上ですが、車体傾斜機能やデジタルATCによる無駄のない加減速、加速力の増加、東海道新幹線内での最高速度向上といった積み重ねの結果です。最新のN700S「のぞみ」の停車駅が500系「のぞみ」と同じなら、東京~博多間は4時間36分程度と考えられるため、技術の進歩も感じます。

 その後、山陽新幹線では300km/hで駆ける700系・N700系も登場し、500系は2007(平成19)年から余剰車両が発生します。2008(平成20)年には8両編成化が始まり、その際に4~6号車が2+2列の普通車指定席化されます。

 4・5号車は700系「ひかりレールスター」と同じ座席で、6号車は元グリーン車から枕とフットレストを撤去した座席でした。どちらも普通車としては現在の目で見ても素晴らしい座席です。特に6号車は座席間隔も広く、新幹線最高の普通車座席だと感じられます。なお、最高速度は285km/hに低下しています。

 2010(平成22)年には「のぞみ」から撤退し、16両編成も消滅。8両の「こだま」運用が中心となります。現在は、500系と700系を置き換えるためにN700系の8両編成化が進められています。

 500系は2027(令和9)年に完全引退することが発表されています。現役では新幹線最古参の形式となりつつも、洗練されたデザインにより今でも「一番カッコいい新幹線」に挙げられることが多い500系。最後の活躍を見るなら今だと思います。

【最高の座席?】500系普通車の各種「豪華」座席を見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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