「欧州の戦車大国」さらに“新型戦車”を開発へ? 進まない「国際開発のスゴい戦車」までの“中継ぎ”、その姿とは?
ドイツが仏との合面企業に対して、新型戦車の開発を容認しました。最新鋭戦車レオパルト2A8の増備と同時に、フランスと新型主力戦車「MGCS」の開発プログラムを進めるドイツに、その「中継ぎ戦車」が必要との見方があります。なぜでしょうか。
「最新戦車」と「将来のスゴすぎる戦車」の間に横たわる“溝”
MGCSの開発が難航している主な理由として、求められる能力の最適な答えを見つけることが難しい点が挙げられます。MGCSは単なる新戦車の開発ではなく、複数の有人戦闘車両とUGV(無人車両)を組み合わせた陸上戦闘システムの開発プログラムです。そのため、その中核となる有人戦闘車両については、求める能力の最適解を見つけるのが難しいようです。
筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は、2022年6月にフランスで開催された防衛装備展示会「ユーロサトリ2022」で、MGCSの開発を主導しているKNDSに取材していますが、同社の担当者もそのような見解を示していました。
特に難しいのは、攻撃力に関する最適解だと思われます。
ユーロサトリ2022では、ドイツ政府がラインメタルに開発資金を与えた130mm滑腔砲弾の発射が可能な砲を装備する新型MBT(主力戦車)KF51「パンター」と、ネクスターがKMWとの合弁企業設立前から研究開発を進めていた140mm滑腔砲「ASCALON」が展示されていました。
KNDSの担当者は、130mm砲、140mm砲の両方ともMGCSの中核となる有人戦闘車両に主兵装として採用される可能性があるものの、ドイツ、フランス両陸軍の砲に対する運用要求の差は大きく、それがどちらの砲を採用するかを決定するにあたっての問題点であると認めていました。
MGCSに関しては、実用化想定時期までの猶予が20年近くあるため、将来の戦闘様相の変化をにらみつつ、独仏両国で意見のすり合わせをしていけば良いように思われます。しかし、ドイツが単独で「中継ぎ戦車」を開発するのであれば、それほど長い開発期間とコストはかけられないと筆者は思います。
そこで、中継ぎ戦車はレオパルト2A8、もしくはドイツ陸軍への配備は決まっていないものの、KF51をベースとする可能性が高いと考えられます。





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