アメリカ南方軍“奇妙な潜水密輸船”を攻撃する映像公開 レーダーの映りにくいカルテルの秘密兵器?

アメリカ南方軍は2025年12月23日、麻薬密輸の疑いがある半潜水艇への攻撃映像を公開しました。

麻薬取り締まり作戦の一環

 アメリカ南方軍は2025年12月23日、麻薬密輸の疑いがある半潜水艇への攻撃映像を公開しました。

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「ナルコ・サブマリン」とも言われる半潜水艇の一例(画像:コロンビア海軍)

 今回攻撃対象となった船舶は、東太平洋で活動していた半潜水艇とされています。この攻撃により、密輸犯1人が死亡しました。

 これは、トランプ政権の麻薬取締り強化キャンペーンである「サザン・スピア作戦」に基づく攻撃です。同作戦では主に、ベネズエラやコロンビアから海上経由で運ばれる麻薬密輸船に対する監視・攻撃を行っていますが、今回の密輸船がどこから出発したのかは公表されていません。なお、すでにアメリカ南方軍は29回の攻撃を実施しています。

 ここ数年、アメリカ国内で蔓延しているフェンタニルは、主にメキシコ経由で密輸されるのが一般的でした。しかし、近年の取締り強化により海上ルートも活発化しており、特にベネズエラの麻薬カルテルが関与している可能性について、トランプ政権は厳しく批判しています。

 そのため今回の作戦では、周辺海域にワスプ級強襲揚陸艦「イオー・ジマ」を中核とする即応展開部隊(ARG)を展開しているほか、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦2隻、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦1隻、攻撃型原子力潜水艦1隻も配備されています。さらに、最新鋭原子力空母「ジェラルド・R・フォード」まで派遣されています。

 今回のような異例の規模での軍事展開については、単なる麻薬密輸取締りの枠を超えているとの批判もあります。これに対し、ベネズエラのマドゥロ大統領は「これは緊張状態ではなく、明白な侵略行為だ」と述べ、攻撃された船は漁船であると主張しています。また、アメリカ国内でも与野党双方の一部議員が、これらの攻撃の合法性について当初から懸念を示しています。

 しかし、今回攻撃された半潜水艇に関しては、明確に密輸船であると考えられます。こうした半潜水艇は「ナルコ・サブマリン」とも呼ばれ、操舵室を除くほぼ全ての船体が水中にある、密輸組織が独自に建造した特殊船です。民間船とは明確に異なります。

 これらはレーダーで捕捉されにくいため、麻薬取締り強化への対抗策として南米の麻薬カルテルが多用しており、各国の海軍や沿岸警備隊は警戒を強めています。

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