第二次大戦で活躍した戦艦「金剛型」、実はその前に退役する予定だった? 時代を変えたかもしれない金剛代艦とは

「ワシントン海軍軍縮条約」の条文には主力艦の代艦建造規定として、艦齢20年に達した戦艦を新造艦で置き換えるという規定がありました。もし、日本が「金剛型」の代艦を建造していたら、どうなっていたのでしょうか。

複数の案があった金剛代艦

 この金剛代艦型については複数の案が存在します。

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建造当時の金剛型(画像:パブリックドメイン)

 まず日本海軍は1924(大正13)年より、41cm砲(条約制限を超えていますが、日本は長門型戦艦の主砲口径を40cmと発表していました)9~10門、速力26~28ノット(48.1~51.8km/h)、あるいは41cm砲12門という戦艦を検討していました。最終的な軍令部の要求は「41cm砲8門以上、速力26ノット(48.1km/h)」程度と見られています。

 これに対して、艦政本部の藤本造船少将と、造船研究部長に左遷されていた平賀造船中将が設計案を提出します。艦政本部の公式案と、左遷された一軍人の私案が比較検討されるのは異常なことでした。

「藤本案」とされる「艦政本部案」は、基準排水量3万5000トン、50口径(52.5口径という説もある)41cm3連装砲塔3基9門、15.2cm砲12門、12cm高角砲8門、速力25.9ノット(47.9km/h)という性能でした。

「平賀案」は基準排水量3万5000トン、50口径(52.5口径説もある)41cm3連装砲塔2基、連装砲塔2基10門、15.2cm砲16門、12cm高角砲8門、速力26.3ノット(48.7km/h)という性能でした。

 装甲厚は平賀案のみ判明していますが、防御範囲こそ狭いものの、垂直装甲381mm(傾斜20度)、砲塔前盾510mm、水平装甲213mmという超重装甲です。

 1942(昭和17)年に就役したアメリカの3万5000トン級戦艦サウスダコタ級でも、40.6cm45口径砲9門、12.7cm高角砲20門、速力27.5ノット(50.9km/h)、垂直装甲310mm(傾斜19度)、砲塔前盾457mm、水平装甲127+19mmですから、同艦よりもかなり高性能な設計の平賀案は、実現可能か疑問が残るほどの高性能です。

 日本海軍の常で、性能については控え目に発表すると思われますが、金剛代艦型が実際に建造されたなら、外見から3万5000トン、40.6cm砲9(10)門、速力25ノット(46.3km/h)程度と推定されるでしょう。

 もし、1930(昭和5)年にロンドン海軍軍縮条約が合意できなかったら、ワシントン海軍軍縮条約の規定通り、金剛代艦型が建造されることになります。当時の計画に沿えばおそらく1番艦は1934(昭和9)年に就役ということになります。

 ワシントン海軍軍縮条約で、日本の戦艦保有量枠は31万5000トン。保有量は30万1320トンですから、1万3680トンの余裕があります。そして金剛代艦は1934(昭和9)年就役予定ですから、「金剛」「比叡」の破棄で5万5000トン確保+1万3680トンなので、空きは6万8680トン。これを2で割ると3万4340トンなので、日本は恐らく「金剛代艦型は基準排水量3万4340トン」と建前上は公表し、2隻同時建造を行うと思われます。

 ちなみに、翌1935(昭和10)年になれば、「榛名」「霧島」「扶桑」の3隻が破棄されることになります。その場合日本の保有量は8万5600トン増えます。

 この枠で金剛代艦型2隻建造すると7万トンですから、残りは1万5600トン。1・2番艦を3万4340トンとしたので、1320トン増えて、この時点で1万6920トンが余ります。1937(昭和12)年になると、「山城」「伊勢」の破棄が可能となり、この1万6920トン+「山城」「伊勢」を合計すると、7万8780トンですから、金剛代艦2隻を建造して、8780トン余ります。そして1938(昭和13)年に「日向」を破棄して、残り4万40トンに増えるので、金剛代艦型1隻建造で、残り5040トンになります。

 1940(昭和15)年に「長門」を破棄して、3万8840トンを確保し、金剛代艦型を1隻建造。3840トンを残るので、翌年に「陸奥」を破棄して、1941(昭和16)年に金剛代艦型か、あるいは別の大型艦を構想することになるかもしれません。

【画像】こんな感じになる予定だった? 金剛代艦の完成予想図

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