日本の採用に追い風? 欧州の小国がついにゲットした「念願の軽戦闘機」 日本にもピッタリと言えるワケ
オーストリア空軍が、レオナルド社製の軽戦闘機であるM-346Fの導入を決定しました。練習機としても運用できる同機の導入は、オーストラリアにとって念願といえるかもしれません。さらに、日本にとっても他人事ではないといいます。
M-346が日本にとっても重要かもしれないワケ
オーストリア空軍は創設当初、アメリカ製のF-86「セイバー」戦闘機の導入を希望しており、アメリカと同意に至っていたのですが、旧ソ連の顔色を気にした政府の政治的判断で、スウェーデン製のサーブJ29戦闘機を導入しています。
このサーブJ29は中古機だったため、オーストリア空軍は短期間で後継機導入の必要性が生じました。この時も、アメリカ製のF-5A「フリーダムファイター」やフランス製のダッソー「ミラージュIII」戦闘機なども候補に挙がったのですが、やはり旧ソ連への配慮から、スウェーデン製のサーブ105とJ35「ドラケン」戦闘機が導入されることになりました。
ドラケンは他の候補機に引けをとらない能力を持つ戦闘機でしたが、オーストリアは前に述べたオーストリア国家条約でミサイルを含む精密誘導兵器の保有を禁じられていたため、冷戦終結後の1990(平成2)年に条約が改正されるまで、ドラケンにはミサイルを搭載できませんでした。
その後、オーストリアは2002(平成14)年に、ドラケンの後継機としてユーロファイターを導入しています。このユーロファイターはドイツ空軍が運用していた、最初期量産型の「トランシェ1ブロック5」仕様機のため、使用できる兵装などの面で他国が運用していたユーロファイターに比べると、能力が劣っていました。
この時点では前に述べたサーブ105は残存していたのですが、導入されたユーロファイターがすべて単座機だったため、1960年代に開発されたサーブ105ではユーロファイターパイロットの養成を行うのは不可能でした。このためパイロット訓練はドイツ空軍へ委託を余儀なくされています。
M-346Fは、こうしたオーストリア空軍を長年悩ませてきた諸問題を解決する航空機となりそうですが、その多用途性は航空自衛隊にとっても福音となるかもしれません。
航空自衛隊はUAS(無人航空機システム)や哨戒機など、比較的脅威度の低い航空機への緊急発進に、F-35をはじめとする戦闘機よりも運用コストの安い練習機やUASを充てることを検討しています。
UASの緊急発進任務への投入には解決しなければならない技術的課題や倫理的課題が多く、まだ先の話になりそうですが、M-346F ブロック20仕様機はレーダーや機関砲を装備しているため緊急発進にも使用可能で、F-35や日英伊の「GCAP」計画で開発される第6世代戦闘機の乗員訓練にも最適化されています。このため同機は、航空自衛隊が抱える緊急発進の増加と、次世代戦闘機の乗員訓練という二つの課題の解決策になり得るのではないかと筆者は思います。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。





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