サーブ社、防衛省へ何を売る? クルマはすでに別会社、現商材こそ「本業」

育ての親は「隣の軍事大国」

 日本は護衛艦や潜水艦、車両を独自開発しており、また航空機にしてもYS-11EBやEP-3、EC-1といった電子情報収集機、電子戦機の退役が控えており、これらの搭載システムは、世界でも有数といえる大きな市場があります。

 またサーブは、アメリカ空軍次世代練習機T-Xの候補として、ボーイングと共同で練習機を開発しました。もしサーブ・ボーイングT-Xが採用となれば、航空自衛隊T-4練習機の後継機として選定される可能性があります。そうでなくとも、T-4後継練習機搭載システム開発への参画も考えられます。

 さらに2016年に防衛省が実施した、F-2後継機開発に関する情報提供要求にも応じてており、おそらくは国際共同開発となるであろう次世代機の開発への参画を狙います。

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サーブの「グローバルアイ」早期警戒管制システム。サーブの「早期警戒管制システム」は世界で最も多くの航空機に搭載されている(画像出典:サーブ)

 スウェーデンは人口1000万弱の小さな国ですが、第二次世界大戦時はドイツとソビエト連邦という二大国に挟まれながらも、両国との交戦さえ辞さず中立を貫きました。そののちの冷戦においても、特にソビエト連邦からの脅威に対抗し続けました。1937(昭和12)年に創立したサーブ社は、こうしたスウェーデンの厳しい国際情勢のもと、多くの軍用システムの開発経験を蓄積し、高い技術力を有するに至ります。

 スウェーデンは現在もなお、ロシアの潜水艦や軍用機が領海・領空に接近し、たびたび戦闘機などがスクランブル発進するという、日本と似たような脅威を抱えています。そのスウェーデンのサーブ社が開発するシステムの導入ならびに連携強化は、日本にとっても大きな利点があると言えるかもしれません。

【了】

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コメント

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3件のコメント

  1. >一定の年齢層以上にはお馴染みのサーブ社ですが、

    その層でサーブに馴染みのある人は、元がヒコーキ屋(特に軍用機)である事を当たり前に知ってると思うのですがね。むしろその下の層には、「サーブってクルマもやってんの?」な人の方が多かったりしないか? サーブのクルマ今はさほどメジャーでないし、JAS39グリペンはゲームだかアニメだかでえらくメジャーになってる様だし。

    どの年代層を念頭にした記事のタイトル/書き出しなんだろ?

    • 世間一般では、多分サーブのクルマもヒコーキも知らない人が多数派かと思います。

  2. すみませーん、海上保安庁もサーブ機を4機(2機新造2機中古改造)もってるんですけど、記事の制作者は忘れたんですか?