選定理由は“強運”だから!? 「極限の世界に向かうフネ」70年の系譜 どこまで進化しているのか

日本による南極観測は、1912(明治45)年に始まりました。その後の砕氷艦「宗谷」の改造、白瀬矗の南極観測、2代にわたる「しらせ」まで解説していきます。

2代目「しらせ」の次は?

 そして、1982(昭和57)年に登場したのが「しらせ」(初代)です。自衛隊では艦名に人名を採用しませんが、この船は南極の「白瀬氷河」から命名しています。

 海自で初めて基準排水量1万トンを超えた艦艇で、1.5m厚の氷を連続砕氷する能力を有し、昭和基地に25回中24回接岸するなど優秀な性能を示しました。

 なお、2008(平成20)年の退役後、「しらせ」は一度解体が決まりましたが、民間気象会社のウェザーニューズに売却され「SHIRASE」に改名し、千葉県船橋市で一般公開されています。

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現役の砕氷艦「しらせ」(2代目)(安藤昌季撮影)

 2009(平成21)年に就役したのが、現行の砕氷艦「しらせ」(2代目)です。船体は当初2万トン級が想定されたものの予算不足で却下され、1万2650トンと先代よりやや大きくなっています。

 マルチビーム式の音響測深機を装備し、南極海の海底地形図を作ったこともあります。統合電気推進を採用し、推進装置は先代の3軸から2軸となり、氷塊の噛み込みを避けるために推進器が外回りとなりました。

 貨物積降時間短縮のためにコンテナ式荷役システムを導入し、歴代砕氷艦の欠点だった横揺れについても新型ヒーリング装置で改善しています。南極の環境保全のために廃棄物処理用システムが充実しており、南極観測で発生した廃棄物を基地の分も含めて持ち帰れます。

 2代目「しらせ」も老朽化のため、2025年10月の輸送計画委員会で後継艦についての検討が始まっています。2034年頃に登場する新型砕氷艦がどうなるかは未定ですが、「2mの氷を砕きながら進める能力」「横方向に動けるスクリュー」「無人探査機器を運用するためのムーンプール」といった能力が付与されると見られています。

【当時の過酷な現場】南極で難局打開に向けて展開した「竹竿作戦」を見る(写真)

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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