【対談】南混団司令×八代弁護士 司令官が語る「防空最前線」沖縄・南西諸島のいま

航空機は「上がってなんぼ」

関「有事の際は、ほかの基地からこちらへ応援がやってくると思いますが、そのときは荒木司令(取材当時)の指揮下に入るのでしょうか」

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南西航空混成団の司令を務める荒木淳一空将(取材当時)。

荒木「さまざまな事態に対してさまざまな計画がありますけれども、ほかから戦闘機の部隊を持ってくることになるでしょう。ですがこちらは島で、いま実際に自衛隊が使える飛行場は那覇基地のみです。また那覇基地は海自と陸自も使いますので、物理的限界のため、戦闘機をここへ集結させることはできません。また、集結させると逆に危ないので、分散させることも考える必要があります」

関「ほかの島へ分遣隊を派遣することや、飛行場を自衛隊用にするという話も耳にしますが、これについてはいかがでしょうか」

荒木「日本の法律では、武力攻撃事態や、それが予測される事態が認定されないと、飛行場や港湾といった特定公共施設を、自衛隊が使わせていただくことはできません。事態の認定後、いかに早く展開して空港などを使えるようにするか、という点についてはしっかり行う必要があるでしょうし、チャレンジのひとつでしょう。また、航空機は分散しておかないと当然、狙われますし、やられてしまったらお手上げになってしまいます。そこは航空防衛力の難しさですね。地上にいると、何の役にも立たない鉄屑です(笑) 空に上がってなんぼのものですからね」

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中国のH-6爆撃機(上)とY-8輸送機(写真出典:防衛省)。

 南西航空混成団は、ほぼ日常的に中国のY-8輸送機やH-6爆撃機を相手にしており、2016年度上半期(4~9月)の382回という緊急発進回数は、前年度同期比の約1.7倍。冷戦期以上に緊張が高まっているという見方もできるでしょう。沖縄の、ひいては日本の安全は、荒木司令(取材当時)らの「日常業務」にかかっているのです。

【了】

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