「ミニ新幹線」じゃ雪に弱い? 最強寒波を余裕で走り抜けたE8系の“舞台裏” 地元の願いは「フル規格」
「この冬で最強最長」と恐れられた寒波で鉄道のダイヤ乱れが目立ちました。そんな中で奮闘したのは、雪を含めて「運休・遅延も多く発生している」と地元自治体から不満が漏れる「ミニ新幹線」でした。
「奥羽新幹線」構想にJR東日本会長の答えは…
寒波襲来にもかかわらず定刻通り運行した山形新幹線ですが、奥羽新幹線建設促進同盟会は2014―19年の走行100万キロ当たりの運休・遅延などの輸送障害件数が19.32件と、JR東日本のフル規格新幹線(東北・上越・北陸新幹線)の0.64件の約30倍だったと課題を指摘します。
その上で「大規模災害等に備えた国土全体の強靭化の観点からも、全国におけるフル規格新幹線ネットワーク整備の必要性は高まってきている」とし、1973年に全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画路線となった奥羽新幹線の整備を求めています。
山形駅の通路にも天井の下に「とまらない 想いを乗せて 福島~米沢間トンネル整備の早期事業化! 奥羽・羽越新幹線の早期実現!」と記した横断幕が掲げられていました。
米沢トンネル(仮称、約23km)は、板谷峠がある山形新幹線の難所をトンネルで置き換える構想です。実現すれば福島―米沢間の所要時間が10分短縮され、悪天候時の運休リスクも軽減すると見込まれています。
JR東日本の深澤祐二会長は2026年1月、筆者が奥羽新幹線構想について尋ねると「山形県と今話しているのは、山越えの山形新幹線は自然災害もある中で米沢トンネルを掘り、時間も短縮して、かつ安全レベルも上げるためにどういうことをするのが良いのかという話です。われわれとしてはそこが一番、まずやるべきことだと思います」と語り、米沢トンネルを優先すべきだとの見解を示しました。
筆者も山形新幹線が雪の中でも奮闘して走った今回の経験を踏まえると、奥羽新幹線に置き換えて水泡に帰すのは惜しいインフラだとの思いを強くしました。
着工から約19年の工期と約2300億円の事業費が見込まれる米沢トンネルの実現への道のりも平たんとは言えませんが、山形新幹線の高速化と輸送障害の抑制に資するだけに優先課題なのは間違いありません。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。





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