「船なら半日→2時間半に」驚愕の“航空機(?)”実用化か? 「将来は沖縄に…」真意は

飛行機と船の“いいとこ取り”ともいえる「地面効果翼機(WIG)」の実用化が目前です。シンガポールのSTエンジニアリングが開発する「エアフィッシュ」が、2026年後半にも定期運航を開始する計画です。

 飛行機とも船とも思える異形の乗り物「地表効果翼機(WIG: Wing In Ground Effect、あるいはWing In Surface Effect)」が実用化されようとしています。WIG機は数十年にわたって、普及が試みられてきましたが、なかなか実現していません。今度こそ普及するのでしょうか。

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STエンジニアリングのエアフィッシュの模型(相良静造撮影)

 まるでモモンガが飛膜を広げたような、胴体と大きな翼がつながったWIG機は、地表や水面スレスレで、翼に働く空気の圧力差が大きくなることを利用して飛びます。その速度は速いものは時速数百kmを発揮できるとも。航空機のように高い空を飛ぶための装備も必要なく、さらに船より格段に速いため、実現を狙い各国で度々挑戦されてきました。特に旧ソ連時代のロシアには、「エクラノプラン」と呼ばれた大型のWIG機もあったほどです。

 しかし、海面スレスレを飛ぶとなると、波が高ければ高速飛行は危険が伴い、多くの船舶が行き交う海域はその高速性が仇となり、他の船舶との衝突が懸念されます。こうしたデメリットもあり、WIG機は話題になる反面普及してきませんでした。

 そのような中、シンガポールの大手企業STエンジニアリングは新しい交通体系としてWIG機に着目し、「エアフィッシュ」と名付けた機体を2024年2月に公開し実用化へアピールしました。2026年2月にはフェリー運航会社との契約を発表し、乗員1~2人を含めた10人乗りの「エアフィッシュ」を、シンガポールのタナメラと海峡を挟んだインドネシアのバタム島の間で運航することになりました。運航開始は2026年後半を予定しているということです。

アピール映像には沖縄県が

 STエンジニアリングは「エアフィッシュ」の実運航へのアピールも引き続き続けており、2026年2月にシンガポールで開かれた国際展示会では小型の模型を置き、会場でPRビデオを流しました。映像には客船のように胴体に窓が並んだ「エアフィッシュ」が現れ、船のように出港して次第に加速して離水、海面スレスレで飛ぶ様子が流れていました。

 映像に現れた説明を見ると、タナメラ・バタム間は船舶なら50分ほどかかるところをエアフィッシュは約20分間で済むとのこと。飛行速度は時速約185kmになり、ビデオ映像の傍らでSTエンジニアリングの社員は“ヘリコプターより快適で乱気流に遭遇することもありません。とてもスムーズにクルーズ出来ます”と笑顔でアピールしていました。

 そして、この映像には沖縄を示す地図もありました。ややデフォルメしたかのような沖縄県の南半分や離島は、那覇と思われる場所と複数の島々が「エアフィッシュ」で結ばれています。“Amami、Okinawaは船舶なら11時間、エアフィッシュは150分間”で結ぶとも書き込まれています。船の航海時間から考えて、「Amami」は「奄美大島」を指していると思われます。

 地図の下には“既存の技術では到達できないが商業的に実現可能”と記されてもいたことから、あくまでも今後の航路開設の一例として挙げたのかもしれません。とはいえ、実は「エアフィッシュ」は、2025年に日本国内の他の地域でデモ飛行が検討されるとニュースが流れたこともありました。

 となると「エアフィッシュ」の姿を将来日本でも見ることができるのでしょうか。

 映像を見つつSTエンジニアリングの社員に尋ねましたが、明確な答えは得られませんでした。

【画像】えっ…これが「海面スレスレを飛ぶ異形の乗りもの」驚愕の全貌です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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