全国で大増殖の「装輪戦車」なぜか持たない2部隊の事情 ついに始まる沖縄配備 その意味とは

「装輪戦車」の通称で知られる16式機動戦闘車ですが、全国に配備されていると思いきや、北海道の第7師団と沖縄の第15旅団には配備されていません。異なる両者の「持たない事情」と、歴史的な「沖縄初配備」計画をひも解きます。

沖縄にも「装輪戦車」を配備する計画あり

 一方、沖縄の第15旅団は少々事情が異なります。こちらは、全国の師団・旅団で最も規模が小さく、やはり偵察戦闘大隊ではなく偵察隊(第15偵察隊)が隷属しています。

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第6師団の16式機動戦闘車(柘植優介撮影)。

しかし、機甲偵察隊である第7偵察隊に対し、第15偵察隊は隊本部と本部付隊に偵察小隊と斥候派遣隊のみという小さな編成で、火力を持つ車両も87式偵察警戒車のみです。

 この状況は、第15旅団の前身である第1混成団(1973年10月~2010年3月)の時代から、南西諸島の地理的な特性や政治的な配慮などにより、他の師団・旅団に比べ普通科や機甲科の部隊を少なくする一方で、高射特科部隊や航空隊を充実させるという特有の編成に起因しています。

 このように他の師団・旅団に比べ部隊規模が小さく、第1混成団の時から戦車が配備されていなかった第15旅団ですが、今年(2026年)3月6日に閣議決定された「防衛省設置法等の一部を改正する法律案」にもとづき、1年後に実施される「第15師団」への改編によって、状況は一変します。

 普通科連隊は現在の1個から2個に増強され、隊員数も1600名ほど増員されて約3900名へと拡充されます。また、2026年現在、西部方面隊の指揮下にある宮古警備隊(宮古島駐屯地)と八重山警備隊(石垣駐屯地)が第15師団に編入されるとともに、石垣駐屯地に電子戦部隊を新編。加えて与那国駐屯地にも電子戦部隊が追加されるなどして、両駐屯地とも定員をそれぞれ約70名と30名、増やす計画です。

 これと歩調を合わせるかのように、第15偵察隊は第15偵察戦闘大隊に改編され、待望の16式機動戦闘車が初めて配備されます。これにより、第15師団の火力も、ようやく本州や九州、四国の師団・旅団と肩を並べるまでに向上する計画です。

 こうすることで、沖縄県外からの島しょ部に対する侵攻や、ゲリラ・特殊部隊の攻撃など、あらゆる事態への対処能力向上の効果が期待されています。

 運用上の制約や政治的条件などから、第15旅団に戦車が配備されることは、さすがにありませんが、「装輪戦車」と呼ばれる16式機動戦闘車の沖縄配備は、師団化とともに1つのエポックメイクな出来事になるのは間違いないでしょう。

【意外と広い!?】16式機動戦闘車がスッポリ入ったC-2の機内(写真)

Writer:

月刊誌『軍事研究』編集部記者。編集作業の傍ら、運用者である防衛省・自衛隊および防衛装備品を作る国内外企業などの取材をもとに記事を(不定期に)執筆する。

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コメント

1件のコメント

  1. 沖縄に駐留する米国海兵隊は、

    2020年に戦車を全廃しました。

    代わりの装輪戦闘車両も配備されていません。

    沖縄の様な島嶼部では、

    戦車(装輪も含む)の実用性は低いと判断されています。