一夜で現れた「不思議空間」 デジタルサイネージが変える交通広告とは

映像だけでない「空間全体を使った表現」

 前述のように、デジタルサイネージの映像そのものは配信サーバーで切り替えることができます。しかし、映像のみならずその周囲に装飾を施すことで「空間全体を使った表現」を実現し、広告のコンセプト性を高めることができるといいます。

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35面のデジタルサイネージの周りに装飾を施す(2017年2月、中島洋平撮影)。

 資生堂 宣伝・デザイン部の矢村智明さんによると、今回の「マジョリカ マジョルカ」の広告は「日常の生活に突如現れる不思議な空間」がコンセプトといいます。3DCGで作成した商品の映像を2面に分けて再生させることで奥行きを演出、柱を斜めから見ると、「マジョリカ マジョルカ」の各種アイテムが画面のなかでぷかぷかと浮遊しているように見えるという内容です。映像制作を担当したビービーメディア インタラクティブコンテンツプロデュースグループ アートディレクターの松川美沙さんによると、どの位置からどれくらい立体的に見えるかなど、事前に下見したうえで映像作りに活かしたそうです。

 また一定の間隔で、ブランドシンボルである鳥が35画面からなる「映像空間」を飛び回ります。そののち、ある画面に「手紙」が現れ、その手紙が開くと、占いなどができる特設ウェブサイトにつながるQRコードが表示されるという仕掛けがあります。「その場に立ち寄った人だけが楽しめる」(井上部長)ことを重視したそうです。

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