ベースの新幹線から「顔」を変えたワケは? “九州オリジナル”がてんこ盛りの800系 後継N700系にはない「独自性」の価値

九州新幹線新八代~鹿児島中央間の開業にあわせて、JR九州初の自社開発新幹線として登場したのが、800系です。走行システム上は700系とほぼ同じですが、丸みを帯びた前頭部や和の素材を取り入れたインテリアは既存の新幹線と大きく異なり、圧倒的な個性を放っています。

進化した内装と検測の役割も担う800系

 座席は普通車のみのモノクラス編成です。2+2列配置の座席で、アルミフレームに難燃処理をしたプライウッド(合板)を背面や肘掛けに採用しています。クッション部分には西陣織が採用され、1・4号車は深いモスグリーンの「緑青(ろくしょう)」と座席背面の木製部分は「桜色」。2・6号車は濃い藍色の「瑠璃(るり)」と座席背面の木製部分は「柿渋色」。3・5号車は赤錆色「古代漆(こだいうるし)」と座席背面の木製部分は「楠色」といったように、こだわり抜いた内装です。

 なお、乗車時間が短いという判断で、座席はインアームテーブルのみで背面テーブルはありません。座席の座り心地は、クッション性はかなり優れていますが、背もたれがやや直線的で背中のおさまりは標準的です。肘掛けが細めな点は、好みが分かれるかもしれません。

 なお、客室内は白、デッキは黒を基調とし、強いコントラストが印象的な車両です。

 2009~2010(平成21~22)年にかけて増備された800系1000・2000番台は、さらに凝った内装が展開されています。座席は座面を35mm深くし、着席時の背もたれ角度を7度から8度に変更しています。荷棚下面と窓枠下テーブルも木製となりました。

 最大の特徴はデッキ壁面で、2~5号車の壁には金箔が張られています。圧倒的なインパクトといえます。

 座席も1号車が「赤の唐草模様の西陣織」、2号車が「ワインレッドの革張り」、3号車が「カーマインのツイード」、4号車が「アイビー柄のゴブラン織」、5号車が「オレンジ系のツイード」、6号車が「赤のアイビー柄の西陣織」と、号車ごとに異なる素材や模様が採用され凝った仕上がりです。

 また、座席高さを4cm低くし、天井にも車内案内表示器を設置することで、情報の視認性を高めています。なお、1000番台は軌道検測装置、2000番台は電力、信号、通信検測装置を備えており、従来の新幹線の計測車「ドクターイエロー」のような車両を製造せず、営業車両で検測を行っています。

 800系は現在、各駅停車型の「つばめ」と、速達型の「さくら」で運行されています。全車が普通車でグリーン車が存在しないことから、容易に見分けることが可能です。

 原型となった700系の引退が始まる中、800系も近く置き換えが始まると考えられます。西九州新幹線も含めて、N700系列が投入されている現状では、JR九州オリジナルの顔を持つ新幹線は、この800系が唯一の存在となるでしょう。事故などなく、最後まで走り続けてほしいものです。

【写真】JR九州オリジナルの新幹線を見る

Writer:

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロイラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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コメント

3件のコメント

  1. 中国製かと思った。

  2.  「新幹線」は路線名であって、車両のことではない。「自社設計新幹線」ってナニ?

     それを言うなら「自社設計電車」や「自社設計車両」でしょ?

  3. 顔が変わったことで、トンネル進入時の衝撃波は出ないのかな?