さよなら「海自の南極観測船」60年続いた“伝統の任務”から撤退へ 現行「しらせ」退役も具体的に
海上自衛隊が初代「ふじ」の就役以来、60年以上にわたって担ってきた南極への輸送支援任務が、歴史的な転換点を迎えます。現行の砕氷艦「しらせ」が2034年頃に退役するのに伴い、防衛省は南極観測船の運用から撤退する意向を示しました。
なぜ撤退? 背景にある「厳しすぎる現状」
船体サイズは全長138.0m、全幅28.0mで、満載排水量は2万2000tと巨大です。なお、先代「しらせ」と比べて輸送の効率化を図るため、コンテナ方式の荷役システムが採用されることになり、12フィートコンテナを56個積載することができるようになりました。
加えて、船底には海底地形を調査するマルチビーム音響測深機が搭載されているほか、南極域・南大洋上で大気観測を行うための機器も設置されています。
船内には乗組員179人に加えて観測隊員80人も収容できるようになっており、海上自衛官以外も艦内で過ごすことから他の自衛艦とは異なった余裕のある作りとなっています。船体後部には航空機用格納庫と発着甲板を備え、輸送ヘリコプターとしてCH-101を2機搭載するだけでなく、別途チャーターしたヘリも積むことがあります。
オレンジ色の船体カラーの「しらせ」は、南極観測船というイメージから人気が高く、南極の氷と共に海上自衛隊のPR活動に一役買っていました。「しらせ」に乗り組む100人を超える海上自衛官のマンパワーも南極地域観測の活動では大いに役立っています。
しかし日本を取り巻く安全保障環境の悪化や相次ぐ大規模災害の発生によって、海上自衛隊に求められる役割は増加しています。
近年は周辺海域を航行するロシア艦や中国艦への警戒監視・情報収集に加えて、同盟国・同志国との共同訓練のため海外へ派遣されることも多くなってきました。その一方で、少子化の影響で募集対象年齢の人口が減少し、定員割れが続いており、リソースを南極輸送に割き続けることが困難になっているのが現状です。




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