さよなら「海自の南極観測船」60年続いた“伝統の任務”から撤退へ 現行「しらせ」退役も具体的に

海上自衛隊が初代「ふじ」の就役以来、60年以上にわたって担ってきた南極への輸送支援任務が、歴史的な転換点を迎えます。現行の砕氷艦「しらせ」が2034年頃に退役するのに伴い、防衛省は南極観測船の運用から撤退する意向を示しました。

「しらせ」の後継船はどうなる? JAMSTECへのバトンタッチ

 こうしたなか、「しらせ」は2034年頃に退役する見通しです。後継船の具体的な対応に着手する2027年度概算要求までに、今後の輸送体制を決めておく必要があることから、文科省と防衛省は検討を実施。後継船の所有と運用主体はJAMSTECとし、ヘリの運用主体は国立極地研究所とする方針を固めました。

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「しらせ」の艦載ヘリコプターとして運用されているCH-101。南極での運用を考慮して極寒冷地対応の改造が施されている(深水千翔撮影)

 なお、海上自衛隊もこれをもって南極観測業務から手を引くわけではなく、氷海航行や氷上輸送などに必要な人員の派遣などで、引き続き協力を行っていく予定です。

「しらせ」後継船は2028年の詳細設計を経て、2029年から2033年にかけて建造し、2034年から運用を始める計画です。後継船の検討では、LNG(液化天然ガス)や水素・アンモニアなど次世代燃料の導入による環境負荷の軽減に加え、周囲の気象・海象などの情報がリアルタイムにPCやタブレット端末などに表示できる機能を設けてほしいといった意見が、南極地域観測統合推進本部の総会などで出されています。

 現在、JAMSTECが新たに運用する北極域研究船「みらいII」の建造がジャパンマリンユナイテッド(JMU)横浜事業所磯子工場で進められています。「みらいII」は砕氷機能と船上で海洋環境の研究を行える本格的な観測機能を併せ持つ日本初の砕氷観測船で、2026年11月頃の竣工を予定しています。

 将来的にJAMSTECの砕氷観測船は2隻体制となることから、両船を柔軟に活用することで南北の両極地においてより充実した研究・観測体制の充実化が図られるとみられます。

【現行「しらせ」の注目ポイント!】ここが「12フィートコンテナ」積む場所です(写真で見る)

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1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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