なぜ最新型ではなく「艦齢40年の旧式艦」を欲しがるのか? 海自“あさぎり型”にインドネシアが熱視線を送る切実な理由
日本とインドネシアのあいだで、海上自衛隊のあさぎり型護衛艦の移転(輸出)に向けた協議が本格化しています。ただ、なぜインドネシアは最新鋭艦ではなく35年以上前の旧式艦を求めるのでしょうか、その背景に迫ります。
「即戦力」として期待されるあさぎり型
インドネシア海軍は従来、領海やEEZの警備などが主な役割だったため、小型艦艇が多いのが特徴です。水上戦闘艦に関しては駆逐艦以上の大型艦を保有しておらず、数の上での主力は26隻のコルベットです。また、コルベットより大きいフリゲートは9隻で、現在はイギリスの31型フリゲートの設計をベースにしたバラプラトラデワ級2隻を国内で建造するとともに、トルコとの間でイスタンブール級の調達交渉を進めています。
このような取り組みの中、日本から導入しようとしているあさぎり型は、基準排水量約3500t、全長が137mあり、航洋性と耐波性に優れているため、就役から30年以上経っている老艦ではあるものの、インドネシアにとっては有用です。
船体サイズを見ても、同国海軍の現有フリゲートのうちマルタディナータ級(基準排水量2365t)2隻とアフマド・ヤニ級(同2200t)5隻より大きく、かつ主要兵装として76mm速射砲、短距離地対空ミサイル装置、艦対艦ミサイル装置、アスロック装置、3連装短魚雷発射管、高性能20mm機関砲を備え、ヘリコプターの搭載・運用能力も持つことから、移転が決まれば、「即戦力」になるのは間違いないでしょう。
実は、インドネシアは「即戦力」の観点から、海上自衛隊の退役護衛艦導入に狙いを絞っていたように思われます。シャフリィ国防大臣は昨年(2025年)11月の来日時、もがみ型護衛艦とたいげい型潜水艦を海上自衛隊横須賀基地で視察し、両艦の説明を受けています。
しかし、今回の日尼防衛相会談において、最新のもがみ型ではなく、旧式のあさぎり型の導入を表明したことは、インドネシア海軍が「即戦力」としての役割をあさぎり型に求めている証左だといえるでしょう。
インドネシアへのあさぎり型護衛艦の輸出は、オーストラリアへのもがみ型護衛艦能力向上型やフィリピンへの中古護衛艦(あぶくま型)に続く成功事例となるのか、今後の行方を注視していきたいと思います。
Writer: 小林春彦(月刊『軍事研究』記者)
月刊誌『軍事研究』編集部記者。編集作業の傍ら、運用者である防衛省・自衛隊および防衛装備品を作る国内外企業などの取材をもとに記事を(不定期に)執筆する。





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