「ホームドア、なぜ一気に設置しない!?」安全性の前に立ちはだかるハードル、打ち破るための“最新技術”とは
駅で見かける機会が増えた「ホームドア」ですが、まだ未設置の駅も少なくありません。なぜ、一気に整備を進めることができないのでしょうか。
“全社一斉”でないとつけられない、ドアの位置の問題
もうひとつの大きな壁は、車両側の「ドアの位置」の問題です。
ホームドアは、開閉するのに前提条件が存在します。それは列車が決まった位置でピタリと止まり、車両のドアと完全に重なるというものです。逆にいえば、ドアの位置や数が異なる車両が同じホームにやってくると、ホームドアそのものが障害物と化すことになります。
現実問題として、同じ路線でも通勤型と特急型でドア数が違うことがあります。また、他社線との相互乗り入れを行う際に、車両ごとに違うドア配置である可能性も考えられます。
たとえば名古屋市営地下鉄鶴舞線では、相互直通する名鉄の車両とドア位置が微妙にずれてしまいました。そのため、長年ホームドアの設置が難しい状況が続いていたのです。東京メトロ東西線も、他社線からの乗り入れ車両とのドア位置の統一が課題となりました。この解決のため、設置計画が後ろ倒しになった経緯があります。
つまり、ホームドアは原則として「乗り入れ各社の車両がすべて同じドア位置・ドア数になっていること」でなければ運用が困難です。そのため1社が決断しても、関係する他社が車両を更新しないかぎり、ホームドアの設置は進みません。“全社一斉にやる”というハードルの高さが、整備をじわじわと遅滞させる原因となっているのです。
ですが、この大きな問題を解決する技術がないわけではありません。
都営地下鉄浅草線では、車両ドアの窓にQRコードを貼る方式を採用しました。ホーム上のカメラがコードを読み取り、車両の位置やドア配置の情報を認識して、必要な箇所だけを開閉するという方式です。
これにより、車両側に専用の機器を取り付ける改修工事が不要になり、従来方式に比べて大幅なコスト低減が可能になった模様です。その効果は、当初想定の20億円という費用から270万円まで大幅な縮小に成功。また設定も容易なため、複数社が乗り入れる路線でも対応しやすい方法として注目を集めています。
国も2021年12月、利用者から1乗車あたり10円程度を上乗せ徴収できる「鉄道駅バリアフリー料金制度」を創設し、整備費の調達を後押ししています。JR東日本はこの制度を活用し、2031年度末までに東京圏の主要路線330駅758番線への整備を進める計画です。
駅のホームドアがハイペースで増えない事情として、巨額の費用、車両規格、関係事業者との調整という大きな障壁がありました。それを打ち破る新しい技術や費用負担の仕組みが整えば、ホームドアの設置は着実に広がっていくとみられます。





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