昔の「ライダーの儀式」なぜ消えた? オートバイを味気なくした“真犯人”とは いまや「押しがけ」も無理に!
昔のバイクで定番だった、エンジン始動時の"キックの儀式"。最近の新車ではキックペダル自体が見られなくなりましたが、その理由はなんなのでしょうか。
「足の力」から「電気の力」へ、負担を少なくする工夫
バイク乗りのドライブは。ガレージから愛車を引き出し、キックペダルを勢いよく踏み下ろす光景が日常でした。エンジンがかかるまでは何度も踏み降ろす、いわば「儀式」のような状態になることもしばしばありました。
ところが、最近のバイクではその流れが変わってきました。エンジン横にあったあの「キックペダル」が、ほぼ存在しません。「2スト原付」がまだ走っていたころは原付からビッグバイクまで広く付いていた装備ですが、最近では姿を消してしまいました。なぜなのでしょうか。
その答えは、エンジン始動の主役が、これまでの「足の力」から「電気の力」へと変化したからです。
キックペダルが姿を消していく潮流は、2段階にわたって発生していました。最初の波は1970年代後半から1980年代。セルモーターやバッテリーの小型・軽量化が進み、4ストロークの中型・大型車を中心にセル始動が一気に主流となりました。そのため、キックペダルを始動のために動かす必要性が薄れたのです。それでも、エンジン横のキックペダルは「もしものとき」の保険として、しぶとく生き残りました。
というのは、当時のバイクの始動原理がシンプルだったからです。キックペダルを踏むとクランクシャフトが回転し、燃料供給を担うキャブレターが、ピストンの動きで生じる吸気の負圧で自動的にガソリンを吸い上げます。たとえバッテリーが弱っていても、最低限の電力さえあれば点火させることができたのです。
実際、キャブレター時代のバイクは、バッテリーが上がってしまう事態でも「押しがけ」で始動できました。坂を下ったり押して走ったりして車輪を回し、その力でクランクを回します。そこにキックペダルの作用が加われば、「足の力」でエンジンを目覚めさせることができました。
ところが、その「保険」としてのキックペダルにも、ついに引退のときがやってきます。





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