ウクライナ軍の「機械の天使」が敵ドローン網を突破! 2度の爆発にも耐えた“決死の救出劇”
ウクライナ戦争ではドローンによる攻撃が激化し、負傷兵の救出も命懸けです。そうしたなか、負傷兵を救う「機械の天使」として無人地上車(UGV)が急速に存在感を増しています。
生存性を高める「ガソリンエンジン」と複数の通信手段
UGVは約40kmの距離を5時間58分かけて走破し、ついに後方の野戦病院に到着しました。UGVは4輪のうち1輪を失っていたといいます。使用されたのは「Maul UGV」の最新型です。
電動ではなくガソリンエンジンで駆動するのが特徴。電動が最高35km/h程度なのに対し、ガソリンエンジン式は70km/hになります。高速の方が生存性が高いという戦訓から、ガソリンエンジンを採用しているそうです。もっともこの作戦のように実際の救出行では地雷や敵ドローンを警戒しながらの走行であり、平均速度は約6.7km/hに過ぎないのですが、瞬発力は必要です。
地上は空中と違い、建物や樹木、起伏などの障害物が多く存在します。通信も途切れやすく、遠隔操縦は決して容易ではありません。そのため、敵と交戦する突発的で複雑な判断が要求される最前線の戦闘任務よりも、比較的定型化した補給や輸送といった支援任務の方が運用しやすいのです。
「Maul UGV」には光ファイバー通信回線、低軌道衛星インターネット、LTE、Wi-Fiなど通信チャンネルが複数用意され、相互にバックアップします。戦術的運用範囲は50kmで、昼光暗視カメラ、赤外線カメラを備え、オペレーターは通常6人ですが、最低3人でも運用可能になっています。ちなみに装甲カプセルの防御レベルは防弾チョッキレベルとされます。
ウクライナ戦争では、ドローン(無人機)といえばFPV自爆ドローンなどの攻撃兵器が注目されがちです。一方で物流業界のいう「ラストマイル」に相当する区間の前線から10~15km程度の範囲は特に危険な地域とされ、救護や補給などの後方支援任務は急速にUGVに置き換えられています。ウクライナ戦線では実際、2026年4月にはUGVによる物資輸送任務が1万回を超えたとも報じられており、戦場の無人化は急速に進んでいます。
戦場では今も「衛生兵!」という叫びが響いているはずです。それに応えるのは、もはや人間とは限りません。負傷兵の前に現れるUGVは、冷たい機械ではなく帰還への希望を乗せた「機械の天使」として映っているかもしれません。無人機に攻撃され、無人機に助けられる。でも戦闘を最終的に決するのは地面に足を着けている生身の兵士です。戦場の主役がロボットになっているように見えますが、その意味を与えているのはやはり人間です。
Writer: 月刊PANZER編集部
1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。





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