「あのSUVに似ている…!」 新型キックス“40歳代にぶっ刺さる”戦略にヒット車の面影 ライバルの弱点を徹底的に突いてきた!? 試乗で実感

いまいちばん競争の激しいコンパクトSUVクラスに、日産は新型「キックス」を投入しました。強力なライバル車種に対してどのような強みを持っているか、公道試乗で検証します。

静かさとキビキビ感を両立! 第3世代e-POWERの実力は

 そして「先進技術」に関しては、パワートレインが国内向けモデルでは初採用の「第3世代e-POWER」へと刷新されたことが最大のトピックでしょう。このシステムは、排気量1.4Lの発電特化型エンジンと新開発の「5-in-1電動ユニット」から構成されています。

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パワートレインは国内向けモデルでは初採用となった第3世代の「e-POWER」

 エンジンは圧縮比のアップとロングストローク化で発電効率を改善し、出力で20%、トルクは11%アップ。これに加えモーター、インバーター、発電機、増速機、減速機という5つの電動機構を1つにまとめたことで、出力5%、トルク13%のアップを上乗せしています。

 また車両側でも、リアスポイラーやアンダーカバーなどの性能の最適化で空気抵抗を低減したほか、回生協調ブレーキも制御で回生量をアップ。結果として、燃費は25.7km/L(WLTCモード)を達成しました。

 公道での試乗は、19インチタイヤを履く2WDモデルの「G」と、17インチタイヤが装備されたe-4ORCEの「X」をインプレッションしました。

 まず「G」は大径タイヤのほか、BOSEのサウンドシステムなどの上級装備が充実したグレードです。発進から軽快な加速フィールで、すぐにパワーが立ち上がる力強さ、長続きする気持ちよさが印象的でした。

 エンジンの作動時間は先代比で75%も低減しているとのことで、ほとんどエンジンの存在を感じません。モーター走行ならではの滑らかさ、静かさが際立っていました。首都高に入って、ようやくエンジン音がかすかに聞こえてきましたが、回転数は従来比で400rpm低く、振動も少なくなっています。エンジンルームから入る車内騒音は1.5dBほど低減したそうで、前後席の会話をまったく邪魔しない静かさが保たれています。

 その反面、後席に座っての試乗では路面へのタイヤの“当たり”がやや硬めに感じ、特に60km/h近辺では微振動が気になりましたが、速度があがるにつれて落ち着きがアップ。全体としてはボディ剛性も高く、ハンドリングのよさの方が勝っている印象でした。

「G」にはガラスルーフが装着されているためか、タイトなカーブではもう少しガッシリ感が欲しいとも感じたものの、高性能ショックアブソーバーを採用した足まわりはしなやかで、キビキビと走れる楽しさがあります。

 次に17インチタイヤ装着でe-4ORCEの「X」に乗り換えると、加速フィールやハンドリングの質はほとんど変わらないまま、乗り心地の安定感がグッとアップ。高速カーブでもしっかり感があり、2WDのキビキビ感とe-4ORCEの上質感をうまくバランスさせた、いいとこ取りのといえる良さを感じました。

 新型キックスをテストしながら、筆者はふと「この走行感覚は『エクストレイル』、それもかつての、特に2代目までのモデルに似ている」と感じました。今でこそエクストレイルは質感も重視した少し上級のモデルになっていますが、初代と2代目は、いい意味でスニーカー感覚の作りが魅力の車種でした。

 さらに言えば、新型キックスがメインターゲットとしている40代の人々は、まさに多感な10代の頃に、初代エクストレイルの登場を目の当たりにした世代です。今では自分が家族を持ち、かつてのエクストレイルのようにワクワクする“自分が欲しいSUV”を求めている人も多いのではないでしょうか。先進技術や使いやすさとともに、遊び心を刺激する新型キックスは、そんな人たちに響く、新感覚のコンパクトSUVとなっています。

【おまいら欲しかったのコレだろ?】新型キックス&「あのSUV」写真で見る(72枚)

Writer:

カーライフ・ジャーナリスト。20年以上に及ぶ国内外での取材経験を生かし、雑誌・ウェブサイト・TV・ラジオ・トークショーなどに出演・寄稿する他、安全&エコドライブのインストラクターも務める。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2006年〜)。現在はYoutube「クルマ業界女子部チャンネル」でもユルく楽しいカーライフ情報を発信中。

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