東京メトロら熊電「青ガエル電車」走らせる 復興応援で工夫(写真70枚)

いざ運転! 「青ガエル」は意外と気難しい?

「熊本電鉄スペシャル体験」における5000形「青ガエル」の運転体験は、熊本電鉄の北熊本駅(熊本市北区)にある車両基地で実施され、参加者たちはそれぞれ、片道およそ100mを1往復しました。

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親子で「青ガエル」の運転を楽しむ参加者も(2017年5月13日、恵 知仁撮影)。

 この「青ガエル」、ブレーキ操作に慣れが必要です。現代の電車は一般的に、ブレーキはかけただけ速やかに効き始めますが、「青ガエル」はブレーキハンドルを操作してから、しばらくたたないとブレーキが効き始めません。効きの強さの調整も、かんたんにいえば“アナログ式”で、自分でブレーキを作動させる空気圧の量を意識しながら操作する必要があります(自動空気ブレーキ)。

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熊本電鉄の「青ガエル」には東急時代を思わせる行先表示が複数用意されており、参加者たちを楽しませた。「二子玉川」ではないのがポイント。

 参加者のなかには、このブレーキに苦戦する人も。「キキーッ!」と、衝撃やや強めでの停車がしばしばありました。もちろん、そうした現代の電車とは異なる難しいブレーキを体験できるのは「青ガエル」運転におけるひとつの醍醐味(だいごみ)ですし、プロ(本物の運転士)が隣についての運転体験であるため、安全性に問題はありません。ちなみにこのブレーキ、プロにとっては、慣れればむしろ使いやすいこともあるそうです。

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熊本電鉄の「青ガエル」は1両編成で走る。
「青ガエル」のこちら側はあとから運転台が取り付けられたため、顔が異なる。
元・東京メトロの熊本電鉄01形には「くまモン電車」(左)も。

貴重な「青ガエル」、運転体験を続けたいが…… そこにある課題

 5000形「青ガエル」の運転は、こうしたイベントに当選せずとも体験できます。現在は貸し切りでの受付が行われており、要項は以下の通りです。

・日時:土、日、祝日限定。2か月前までに要申込み。
・料金:基本料金4万円。参加者1名につき2000円増。
・時間:午前の部 9時から12時/午後の部 13時10分から16時10分。
・場所:北熊本駅構内。
・定員:各部1名から最高10名まで。
・特典:熊本電鉄公認修了証、熊本電鉄カレー(1名1個)、参加券提示で電鉄電車当日乗り放題。

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01形では車内放送やドア操作の体験などができた。
熊本電鉄には元・南海の22000系電車(写真)、元・東京都交通局6000形電車も走る。
「青ガエル」の車庫がある北熊本駅、その改札口にいた謎のカエル。

 しかしこの熊本電鉄に唯一残る「青ガエル」、1957(昭和32)年の製造で老朽化が進行し、“体調”が思わしくないこともあるそうです。

 ただ、熊本電鉄の松村友記鉄道事業部長によると、「古い車両ですが保全に努め、運転体験を続けていきたいと考えております」とのこと。モノコック構造の超軽量ボディとアメリカから技術導入した当時最新の電気機器により高い性能を実現し、日本の電車史に名前を残した元・東急5000系電車「青ガエル」。その最後の生き残りが、末永く元気であることを願うばかりです。

【了】

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Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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3件のコメント

  1. 臨時でいいので動かし続ければ金になるよ熊本電鉄。
    保守費用、手間に見合う収入源にはなるよ。

    検討を。

  2. 北熊本駅の改札口にいる謎のカエルは実は、製薬会社「コーワ」の 「ケロちゃん」です。

  3. 素晴らしい。日本各地の懐かしい車両がいつまでも熊電で活躍する事を願っています。