見た目は昭和初期、性能は21世紀 JR西、SL全盛期の旧型客車復刻 「SLやまぐち号」用

JR西日本が、昭和初期に誕生した旧型客車を復刻しました。この35系客車、一見するとレトロですが、座席にコンセントがあるなど、古い車両の良さと最新車両のサービスを併せ持つ内容に。シミュレーションゲームも車内で楽しめます。

SLを今後数十年は、走らせ続けるために

 JR西日本が、昭和初期に誕生した旧型客車を復刻。2017年6月4日(日)、新山口駅(山口市)で報道陣へ公開しました。

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1938年に製造されたマイテ49形一等展望車をモデルに復刻されたオロテ35形。「ぶどう色」という旧型客車の色を身にまとう(2017年6月4日、恵 知仁撮影)。

 国鉄(JR)初の復活SL列車として1979(昭和54)年から、山口線の新山口駅と津和野駅(島根県津和野町)のあいだで運行されている「SLやまぐち号」用の新しい客車で、JR西日本によると、同列車を持続的に運転するため今回、SL全盛期に走っていた旧型客車を復刻したといいます。

 JR西日本は、車両の老朽化といった課題はあるものの、これまでの歴史的経緯や利用者に好評であることをかんがみ、産業革命の原動力で、近代日本における産業遺産のひとつである「SL」を後世に継承することは同社の社会的使命だと考えているといい、持続的なSL動態保存(動く状態で保存すること)体制の整備に着手。今後、少なくとも数十年程度は安定的にSLの動態保存を継続できるよう、SLの解体検査に特化した専用検修庫も新設しています。

 このたび公開された復刻車両35系のコンセプトは、「SL全盛期の旧型客車であるマイテ49、オハ35、オハ31を復刻」「SLの音や煙を体感できる開放型展望デッキや開閉窓の設置」「SLを体験し学べるフリースペースの設置」「バリアフリー対応、ベビーカー置場、温水洗浄機能付きトイレなどによる快適性向上」の4点。昭和初期の車両を復刻したものですが、窓が開けられるといった古い車両の特徴、雰囲気と、最新の快適性、サービスを併せ持っているのが大きなポイントです。もちろんクーラーが搭載されており、トイレは温水洗浄便座、照明はLED、停車駅の案内などをする車内液晶モニターも。グリーン車の各席、それぞれのボックスシートにコンセントも用意されました。

 JR西日本の担当者によると復刻にあたり、安全基準の変化で往時は使えた材料が現代では使えないこと、古い資料を集めることなどが難しかったといいます。安全性確保のため、ドアも自動ドアになっています。

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コメント

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17件のコメント

  1. 古く見せる新車に新しく見せる旧車!忙しいねー?SLも新車にしたら?伊予鉄みたいにDIESELで走るSL風なのをさ!老骨キハすら化粧直しして指定料金取ってみたり、騙したつもりが騙された?利用者を甘くみないほうがいいんじゃない?

    • その甘さが分かってるからみんな乗るんですよ…豪華列車だってその金額積めばそれ以上に豪華なリゾート経験も出来るわけだし。
      逆に、おんぼろの車両使って料金とればボッタクリとか言われるし…
      ただ、流行に左右されてる事は間違いないようですが。

    • 指定席料金で何を言ってるのやら・・・
      指定席料金と乗車券で乗れるだけマシだと思いますけどね。
      そもそもSLの運行なんて、運行主には利益にならないのに、それをこれからも続けていく為に、わざわざ客車を作ってくれただけ有難いと思うべき。
      SL銀河みたいな全く新しいスタイルの客車も斬新的ですが、今回のこの客車は写真を見る限り、古風を再現してていいと思いますけどね。

  2. ああゴハチが残っていたら、登場時に復原して山陽本線を100km/hで走る企画もできただろうに…
    見た目レトロ実質最新型は999号みたいというネタに従いC62で牽かせるとかw
    せっかく新造したのだから、いろんな機関車で牽く列車を走らせてほしい。

  3. 今まで使っていた12系どうすんだろ?

    • あの車輌こそ大鐵が引き取れば良かった。
      もう遅いかな?

    • なんと大鐡に輿入れしましたよ!

  4. なるほど!有り難い列車か!この業界じゃなくても、わさわざと言った拘りから様々な物が世に出でたわけだからね、昔に津和野からお座敷編成に乗してもらったことある、蒸気機関車の重連で一機は後尾から押す運行だったような?それが新車かは分からないがね

    • Dで押しているように12系や14系は「重過ぎる」んです。
      かつて流行ったお座敷列車は12系改造か14系改造の7両編成なのですが、
      わざわざ5両に減らして運転していたりしました。
      これ以前の14系改造レトロ客車も元車両の定員だと重過ぎるために座席定員を減らしていたりします。
      今回の新35系は軽量化されたスハテ・オハ・ナハ・スハ・オロテの五両編成の上にイベントスペース等でさらに定員を旧レトロ列車並みにしてあります。

      D51の改造が終わり当面の代打は確保できたのですから、今後は震災復旧以来のC57の再々改造が期待されます。その後まず実現しないでしょうがC62の本線復活改造が実現するかもしれません。

  5. 老朽化した車両を鞭打って使わせるよりも同じ設計で作ったほうが安全性は高いかもね。まあ、古い車両を信奉する人にはそれでも気に食わないことは多い気がしてるけど。
    記事書いた人もなんで4000番台なのかちゃんと調べてほしいな。

  6. どうせ人気で指定券買えないんでしょ?

  7. ここまで拘って作ってくれて、国鉄型好きには嬉しいですね。本物の旧客35系では無いけれど、納得の仕上がりです。

    • 逆に“これならば”と東がヘンな気おこして旧客や12系をオシャカにしなければいいが・・・。
      少し不安だ。

  8. これ、新製車ですよね?
    形式番号からして、旧客をベースにリニューアルしたんじゃないかと思ったぐらいです。
    ななつ星など、旧車オマージュでイマ風にアレンジした新製車両は見かけるけど、ここまで旧車寄りのデザインは逆に新鮮味があって好感が持てます。

  9. JR西日本からSL時代の列車の復元という新しい提案が出され、感心しました。
    老朽化した旧型客車はSLと共に維持することそのものが大変で、いずれは安全性や維持費の問題から引退を余儀なくされます。
    エネルギー革命以前の文化であるSLがその時代の日常的風景だった旧型客車を牽いて走る姿は老人だけでなく、若い人の関心も引くと思います。沿線の歴史的な景観と共に文化財の新しい見せ方・活用の方法として、これからあちこちで応用できそうな手法だと思いました。

  10. JR北海道の新マヤもマヤ35系。昔ながらの客車ファンを悩ませる事態が再発生。とはいえ、両方が出会うことはまず絶対にあり得ないから良いが。余談ですが、北海道のマヤ35、車体完成、北海道への回送は5月なので(現在機材設置等整備中。竣工は来年3月以降とか)、形式付与はこの車両よりも早いことになる。

  11. この新型の旧型客車よく出来ていますねぇ!新しい車両なのに戦前のイメージは不思議ですが、かえって新鮮味を感じさせますね!やはり、SLには旧型客車が似合いますよねぇ!